9月22日、中国の裁判所は任志強に対して懲役十八年を言い渡した。
これで近未来に政変でもなければ、現在69歳の彼は87歳まで刑務所のなかで暮らすことになる。嘗て政治的迫害をモロともせずに好き勝手な発言ができたのは、うしろに王岐山がいたからだ。
ということは、今度の任志強への重い判決の意味は、北京奥の院の権力闘争が、次の標的を王岐山に絞り込んだのかも知れない。天安門事件直後にトウ小平が趙紫陽を解任し、自宅軟禁としてように、これは一種のミニ政変である。
任志強の父親は共産党大幹部で商務部副部長も務めた任泉生だ。文革中に陝西省延安に下放され辛酸をなめた。つまり任志強は「紅二代」の太子党であり、しかも権貴階級でありながらも、12年の軍隊経験を摘んでから実業界に飛びこんたという経歴は、それなりいに軍との繋がりの深さを意味し、この点ではファーウェイCEOの任正非と似ている。
実業界における任志強は新華人寿保険取締役などを歴て、大手不動産の「華遠地産」董事長(CEO)。この頃から党批判を公然とおこない「任大砲」とも「中国のトランプ」ともいわれた。なにしろ任志強はSNS「微博」で習近平を莫迦扱いし、かならずこの権力体制を倒すと宣言したとされるが、このネットは閉鎖されているため、彼が正確にどういう発言をしたのかは明らかではない。習近平を激怒させたのは事実で、四月に任は拘束されていた。
結審を前にした8月26日に習近平は、公安警察幹部三百名を集めて会議を行っている記録がある。次の焦点は王岐山の政治生命がどうなるか、にある。
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