Peace Waveの平和な日々~行く雲、流れる水のように~

気が向いたら、ボチボチ更新しようかと・・。(笑)

ミリオンダラー・ベイビー

2010年08月30日 | 映画・ドラマ

「ミリオンダラー・ベイビー」は、2000年に出版されたF.X.トゥールの短編集、『ROPE BURNS~STORIES FROM THE CORNER~』の中の作品が原作。

 

この小説の冒頭にこうある。

「For God、the Eternal Father、and for Dab Huntley、my daddy in boxing.」

(神と、永遠なる父と、そして私のボクシングの父、ダブ・ハントリーに捧ぐ)

 

F.X.トゥールはペンネームで、本名はジェリー・ボイド

―そう、この作品は、先日紹介した、全米ボクシング界にその名を轟かせた、ダブ・ハントリーとコンビを組むカットマンのジェリーが、はじめて出した小説なのである。

(カテゴリー/格闘技:「最高のチーム」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/dd47865ff92575a701f4733833786f16

 

ジェリーは長年の小説家になる夢を、70歳にして叶えたのだ!

 

ジェリーは短編集の作品すべてにボクシングのトレーナーを登場させていたが、そのモデルは相棒のダブ・ハントリーその人だった。

 

映画に登場する、モーガン・フリーマン演じる元ボクサーと、クリント・イーストウッド演じるトレーナーは、ダブとジェリーのコンビそのものなのだ。

 

2人が出会ってから21年、7度のタイトルマッチを経験していたが、いまだ、アマチュアの選手を1から鍛えて世界チャンピオンにする・・という夢は叶えられていなかった。

弱気になるダブに、ジェリーは自分の小説を見せた。

 

「何度KOされても立ち上がる、ボクシングは人生そのものだ。それを教えてくれたのはあんただ!あんたが俺の夢を叶えてくれたんだ!

ダブ!これからだ!今度は俺たちの夢を叶えるんだ!

 

―しかし、2人の夢は叶わぬまま、ジェリーは72歳で亡くなった。

その2年後、小説が映画化。

出版当初、その暗い内容から映画化は難しいと思われていたのだが、クリント・イーストウッドが監督・主演を引き受け、映画化が決定。

「ミリオンダラー・ベイビー」は2004年アカデミー賞作品賞に輝いた。

 

死んでも立ち上がる「KOされない心」という最高のプレゼントをジェリーから受け取ったダブは、67歳になった今も、世界チャンピオンを育てる夢を持ち続けながら、現役のトレーナーを続けているという。

 

「Mo Chúisle」(モ・クシュラ)

―「おまえは私の愛する者、おまえは私の血」

 

その衝撃的なラストなど、いろいろ物議をかもした作品であるが、こうした誕生秘話を知って、この映画を見ると、また違った味わいがあるのかもしれない・・。