練拳不練功、到老一場空
武術家、拳法家に注意を促す言葉を"拳諺"(けんげん)というそうだ。
上述の言葉は、「拳技をいくら練習しても、功(功夫)を練らなければ、年を経ても中身が空っぽ」・・という意味。
技や型などの拳技を練るのは簡単だが、”功夫”を練るのは難しい・・というコトである。
武術と功夫は元々は一つであり、同じものであったが、今や、目的を異にする二つの存在と認識されているのである。
日本では、中国武術の代名詞として使われる”カンフー”(功夫)という言葉。
本来、「工夫」「知恵」「時間」といった意味も含んでおり、日常生活の中でも、優れた能力や腕前に対して使われるコトも少なくないという。
熟練者、熟達者を表す言葉も功夫というワケである。
また功夫は、人に見せずに練るもの。
時間×汗=功夫
・・であるという。
まさに”功夫は一日にしてならず”・・である。
これらの文脈からすると、功夫は、いわゆる「気」とか「気功」のコトを思わせるのだが、武術の習得には、目に見える技としての武術(外的)と、目に見えない功夫(内的)とを共に兼ね備えなければならない・・というコトになろう・・。
目に見えないものだけに、その習得の度合いを知るのは厄介ではあるが、とにかく、日々、積み重ねていくコトでしか得られないものであるコトは確かである・・。
花拳繍腿
「かけんしゅうたい」と読む。
正式には「花拳繍腿好看無用」といい、はなやかな動きや見た目だけの技は武術には必要ない・・というイミだそう。
中国武術の世界で、見た目は派手で恰好よいが、中身(威力)がない技や動きを戒めた言葉。
ブルース・リーが言ったという言葉で
「私が恐れるのは1万通りの蹴りを1回ずつ練習した者ではない。たった1つの蹴りを1万回練習した者だ」
・・というのがあったが、まさしくである。
武術というのは、非常に現実的なものである。
実際に効果がある技なのか、効くのかどうか?・・という検証のもと体系化され、継承されてきた技術の体系である。
また一方で演武・・となると、いかにその武術を効果的に見せるか?・・という見た目に訴える派手さやパフォーマンスを追及する嫌いがあるので、ややもすると「花拳繍腿」という事態に陥りやすい。
しかし、”本物”の武術を目指そうとするなら、それだけではダメだというコトであろう。
肝に銘じておこう・・。
身体のつながり
ひとつをとらえる
末端から順に動く
力、速さ、バランス、タイミングは意図せず、身体に任せる
あらゆる動作にはパフォーマンスを上げるために意識するポイントがある。
その1つのポイントをとらえて()動くと、体に1つの芯が通ったように(
)安定する。
の末端から動く・・とは、腕なら指先から動くというコト。
その際、そのポイント以外を意識するとダメなので・・というコトになる。
覚書きなので・・後で見て分かるかな・・?
先日、6日に行われたWBC世界ライトフライ級タイトルマッチで、“怪物”井上尚弥が王者アドリアン・エルナンデスを6回2分54秒、TKOで下し、プロ6戦目にして世界王座を奪取した。
これは前WBA同級王者の井岡一翔がもつ7戦目で世界王者・・という記録を更新、国内最速記録となった
井上は終始、王者を圧倒し、スピード、テクニック、ともに
「これはモノが違う・・」
・・と思わせる戦いを展開、”怪物”の異名がホンモノであるコトを実証した。
とにかく、エルナンデスのパンチが当たらない。
接近戦でもつれあった時に1、2発もらったくらいか・・?
左目の上をカットし、顔もボコボコに腫らしていたエルナンデスに対し、井上は試合後も無傷で顔もきれいなまま・・。
圧勝といっていい内容だった。
将来的には井岡一翔ととの日本人頂上対決も噂されるが、もし、実現すれば、史上最高、最強の日本人対戦カードとして語り継がれていくコトは、まず、間違いない!
必ずや、伝説の一戦となるコトだろう。
いや~、ぜひとも井岡VS井上、実現して欲しいものだ・・。
自分が師事している武道の師範から稽古中に聞いた話。
反射神経を鍛えるために2人が向かいあった状態で立つ。
手を伸ばすと互いの突きは顔面をとらえるほどの距離。
相手の突きに反応して腕でガードする・・それだけの練習だ。
攻撃は突きだけなのだから、しごく簡単に思われるが、まあ、向かい合って立つと、突く側、受ける側、なかなかの緊張感!
目で一生懸命に突いてくる瞬間を見極めようとすればするほど、いわゆる”居つく”という状態になり、まったく体が反応できず、身動きが出来なくなるのがわかる。
「いつ突きが来るか?」・・と、気を張り詰めて待っているので、肩にも力が入り、力んでしまって、まあ、疲れるのだ・・。
また年齢のせいか、目が悪いせいか、異様に目が疲れて、その緊張状態に耐えられなくなってしまう。
たまりかねて
「相手のどこを見ればいいんですか?」
と聞いたトコロ、
「見ない」
—と一言。
相手の目や手だけに意識を集中していれば、全体が捉えられなくなってしまう。
むしろ目に何も映さないで、ただ全体をぼんやりととらえるようなイメージ。
本来なら、突きが来るか、蹴りが来るか、わからないワケなのだから・・。
何かが来た時、それにただ冷静に対処する・・。
反射神経と同時に、そうした”胆”をつくる練習でもあるな・・と理解した。
”木を見て森を見ず”の例えのごとく、一部にばかり目を向けていると、全体が見えなくなってしまう。
これは職場や家庭など、日常生活でもよくあるシチュエーションであろう。
”見る”のではなく”観る”
—なんちゅーと、カッコええのだが、余裕がなくなればなくなるほど、自分の視野がせまくなって、自分のコトしか見れなくなってしまうのを、最近よく感じる。
”忙し”いと”心”を”亡”くし、知らず知らずのうちに、自己中な発想になってしまっているのだ。
日々、修行なのだなぁ・・と感じる、今日この頃でした・・。
既にPRIDEが消滅して久しいが、K-1やDREAM、Dynamite!など、多い時は3つものイベントが挙って地上波のTV放送があったほどバブル感のあった大晦日恒例の格闘技イベントは、今年はまったく姿を消してしまった。
(TV放送はなくても、やってはいるんだけどね・・)
K-1などもMAXから魔娑斗が引退してからのTV放送は著しく激減、ファイトマネーの未払いなどの問題も露呈し、K-1の選手がボクシングに転向するなどのニュースも入ってきた。
格闘技好きの自分にとっては悲しい限りであるが、ドームやアリーナなど、でかい会場を借り切って、ド派手な演出をする打ち上げ花火的な大会は、経済的な事情からも興行的にムリがあるコトは、既にUWFブームの時に実証済みである・・。
堅実に2000人ほどのキャパの小さな会場で地道に興行を続けていく・・とゆーコトで生き残ったのが修斗やパンクラスであるが、そうした格闘技団体のお手本となったのが、言うまでもなく、ボクシングである。
一部の選手は、TV向けの派手な入場パフォーマンスなどの演出がされたりもするが、派手さはなくとも、ただリングとスポットライトだけのシンプルなボクシング会場には、イベント的に作られ、煽られたお祭的な雰囲気ではなく、通好みの”本物”の格闘技のにおいがする。
―とゆーコト(?)で、この大晦日、唯一TV放送があったのが、井岡一翔のWBC世界ミニマム級タイトルマッチの防衛戦。
同級10位のタイの挑戦者、ヨードグン・トーチャルンチャイは、井岡の1歳下の21歳で、8戦全勝というプロのキャリアも同じ。 プロ7戦目で世界王座を獲得した井岡に対し、ヨードグンは3戦目で世界ユース王座を獲得し、ムエタイで100戦を超えるキャリアを誇る。
しかし、蓋を開けてみれば、わずか98秒という秒殺TKO勝利で井岡が試合を決め、V2防衛に成功した。
試合を決めたのは、この左フック!
見事に挑戦者の顔面をとらえ、キャンバスに沈めた。
1ラウンド98秒での決着というのは、世界防衛戦では国内の史上最短KO記録!
これで井岡のプロ戦績は9戦全勝6KO。
そのまま倒れた挑戦者は起き上がれず、レフェリーも途中でカウントをとめた。
試合後、「こんな強烈なパンチは今まで受けたことがない」と語った挑戦者は試合後も起き上がれず、担架で運び出されるほど・・。
これもまれに見る光景だ・・。
この左フックも1発ではなく、一連のコンビネーションの中での攻撃。
この前に既にボディが効いていて、少し挑戦者の体が”くの字”に折れたかな?・・と思った直後の攻防での1発が、カウンターで入ったかたちだ。
スローで、ようやくとらえられるほどのスピーディーな展開だった。
あまりに決着がつくのが早すぎて、ちょっと物足りなく感じたが、本当にボクシング界に井岡の時代が来るコトを予感させる1戦であった。
ちなみに同じ日に行われたDREAM 2011元気ですか!!大晦日!!のメインで、石井はヒョードルに1RKOされたようだが、まあ、当たり前か・・。
昨日、井岡一翔(かずと)対ファン・エルナンデスのWBC世界ミニマム級タイトルマッチが行われ、3-0の判定で井岡が初防衛に成功した。
これで井岡はプロデビュー以来の連勝記録を伸ばし、8戦全勝5KO!
同級1位のエルナンデスは、19戦18勝13KOという強打の持ち主で、序盤は互角の攻防が繰り広げられたが、王者の井岡は落ち着いてプレッシャーをかけ、後半は完全に主導権を握り、挑戦者を圧倒した。
日本ではプロ最短の7戦目(!)で世界王者になった井岡は、世界戦よりプレッシャーがかかるという初防衛戦でも、まったく臆するコトなく、実に堂々としたもの。
プロのリングでたった7戦しか戦ってないにもかかわらず、キャリア不足など、まるで感じさせない。
それもそのはず、アマチュアで100戦以上(!)のキャリアを誇り、選抜大会・インターハイ・国体と、史上3人目の高校6冠を達成した逸材。
クレバーな試合運びは、とても22歳とは思えない落ち着きを感じさせた。
長谷川穂積の後を継ぐ、日本の絶対王者となりうるか?
さらなる活躍を期待したい。
昨日、WBC世界ミニマム級タイトルマッチが行われ、井岡一翔がオーレドン・シッサマーチャイを破り、プロ7戦目にして王座を獲得した。
この記録は辰吉丈一郎のプロ9戦目、名城信男のプロ8戦目を抜き、日本では史上最短の世界王者の誕生となる。
6戦目で日本王者になったばかりのボクサーの世界タイトル挑戦は、言うまでもなく、異例のコトであるが、アマチュアで105戦というキャリアを誇り、高校6冠の井岡は、40戦無敗という王者に対し、臆するコトなく戦い、2度のダウンを奪って圧勝!
さすが、井岡弘樹の甥!
間違いなく、2級制覇の元世界チャンピオンのDNAを継ぐサラブレッドだ。
序盤はお互いに様子を見る展開だが、サウスポーの王者に対しても、そのキャリアからか、まったく苦手意識などない様子の井岡。
2ラウンドには早速、左フックが王者の顔面をとらえ、ダウンを奪う。
試合を決めたのは5ラウンド、スローでもかすむような、鋭い井岡の左ボディ・ブロー。
王者も意地でパンチを返すが、たまらず、体を”くの字”に折り、ダウン。
悶絶する王者にレフェリーが割って入り、TKO勝ち!
終わってみれば、一方的な試合だった・・。
その血統の良さは言うまでもないが、アマ100戦以上のキャリアは伊達じゃないな・・と思わされた。
これで日本人王者は最多タイの7人に!
完成度の高いボクサー・・と言うには、21歳という若さゆえ、早急すぎるかもしれないが、少なくとも、そのポテンシャルの高さの片鱗は窺い知るコトが出来た。
しかし、実に落ち着いた試合運びだったなぁ・・。
4階級制覇を目標に掲げる新王者が、さらに経験を積み、進化した今後の姿に期待したい。
毎年恒例、大晦日の格闘技イベント、Dynamite!
今年は10周年記念大会とゆーコトで、豪華なカードを集めたつもりだったかもしれないが、内容のショボさが、現在の格闘技界の盛り上がりのなさを象徴するかのようで、非常にさびしいものを感じさせられた。
話題性では、1年ぶりに大晦日のリングにあがった柔道五輪金メダリストの石井慧と、ジェロム・レ・バンナとの対戦であったろうが、打撃も寝技に持ち込んでからの関節も、脅威の練習量・・と聞くわりには、さほど成長を感じさせない石井の中途半端な攻撃で判定勝ち・・という、なんともさえない試合だった。
試合後はブーイングが飛んだほど・・。
バンナも、もう年だしね・・。
まあ、秒殺でトッド・ダフィーを倒したアリスター・オーフレイムのヘビー級タイトルマッチや、ビビアーノ・フェルナンデスを3-0の判定で降した高谷裕之のフェザー級タイトルマッチ、所英男対渡辺一久の試合など、見どころのある試合もあるにはあったが・・。
しかし、個人的にベストバウトとして推したいのは”コスプレ・ファイター”、長島☆自演乙☆雄一郎と、”バカサバイバー”、青木真也との一戦である。
記者会見からコスプレの長島に青木はキレ気味・・。
正直、この組み合わせを聞いた時、青木の1本勝ちだろうな・・というのが素直な感想だった。
長島は、K-1日本代表トーナメントを制した日本王者・・とはいえ、コスプレでの入場以上のインパクトはない”色モノ”的な存在・・。
当て勘はいいが、トリッキーな戦法で戦う、華奢で線が細い選手・・といった印象だ。
一方の青木も似たようなキャラで、ほぼ同じよーな印象であはるのだが、”跳関十段”の異名ももつ、サブミッション(関節技)に関しては世界一の呼び声高いグラップラーで、DREAMライト級世界王者という、軽量級きっての寝技師だ。
確実に自分のペースに持ち込み、ねちっこく関節技で勝つだろう・・というのが、戦前の順当な予想と思われた。
長島は相変わらず、元ネタはわからん女の子キャラのコスプレで入場。
ルールは、1ラウンド3分がK-1(キック)ルール、2ラウンド10分がDREAM(MMA:総合)ルールだったため、当然、長島はこの回、勝負を賭ける。
しかし、青木はタックル気味に組みに行ったり、ロープをつかんでの蹴り、しまいにはドロップキック連発という”かけ逃げ”状態で時間を稼ぎ、まともに打ち合わない。
解説の須藤元気にも「ここまで空気読めないと、逆に気持ちいいですね・・」と言われるほど、徹底的な逃げに徹したまま、1ラウンドは終了。
2ラウンドになれば、圧倒的に青木に有利なルール、これでつかまれたらおわりだと、誰しもが思ったゴング直後・・
フラストレーションがたまっていた長島のヒザが、タックルに来た青木の顔面を見事にとらえた!
間髪を入れずに倒れた青木の顔面に鉄槌の連打を叩き込み、たまらずレフェリーが割って入り、試合終了!
ファースト・コンタクトをイメージして練習してきたという長島が狙いどおり、まさかの大番狂わせで勝利をものにした。
解説の魔娑斗もこれを見て、いいコトを思い出した、「人生、逃げてちゃあ勝てない!」と言っていたが、まさしく・・である。
長島本人も「ありえへん・・」と言ってたそうだが、おそらく、今大会、最も盛り上がった試合だったろう。
プロの試合は、派手なKOや1本勝ちがないと、なかなかヒーローにはなれないが、今年の長島は”もってる”かもしれない・・。