『ゲゲゲの鬼太郎』の作者で妖怪界の”御大”水木しげるが今日、11月30日に93歳で亡くなった。
その水木しげるが生前、夢枕に立つ出雲一族の男の霊に促され、必ずや描かねばならない・・と語っていた作品が、この『水木しげるの古代出雲』
今から3年前の2012年3月に単行本化されているが、90歳の時に、これだけの仕事をしているのかと思うと、驚嘆するほかない。
「そもそもぼくが古代出雲王朝のことを描こうと思ったきっかけは三十年程前から古代人らしき青年が夢の中にちょくちょく現れるようになってからだ」・・と作中でも語っている。
そのエピソード自体、自分自身ももう何年も前に何かで目にしたこコトがあり、いつかその作品を目にするコトがあるだろう・・と思っていたので、実際に作品を手に取るコトが出来るようになったのは非常に感慨深い。
記紀の「国譲り」神話には、古代出雲(葦原中国)の大国主命が大和朝廷(高天原・天孫族)に国を譲り渡したコトが描かれている。
(カテゴリー/歴史・民俗:「出雲神」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/e196fd51615f0558e832d1dbe6f097dc)
―果たして、事実はどうだったのか・・?
まだまだ謎も多く、考古学上の発見や研究が待たれる分野ではある。
しかし、古代出雲には一大勢力があった(カテゴリー/歴史・民俗:「考古学によって浮上した出雲」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/9f59940740955e91deb3f895eb592caf)コトは間違いなく、その国を譲り渡す・・というのは、大変なコトだったろう。
そこに出雲の無念がある・・。
鳥取県境港・・出雲に生まれ育った水木しげるは、古代出雲に生きた人々のそうした無念を晴らすため、シャーマンのようにその声を聞き、マンガを通して現代に語るという、これ以上ない語り部であった。
それをこうして1つの形にまとめあげたコトは、水木しげるの長年の悲願でもあったし、喜びでもあったろう。
単行本の最後に収められた番外編は、
「古代への旅はこれからもまだまだ続く・・・」
・・という言葉で締めくくられている。
御大のご冥福をお祈りします。