最近、レジリエンス(Resilience)なるものが注目されているという。
挫折や失敗をした時や、困難に処した時、落ち込んだ時、そうした逆境を乗り越える精神力、こころの強さのコトで、日本語で「逆境力」「回復力」などの訳が当てられるそう。
わかりやすく言えば、”折れない心”・・とゆーコトになろうか?
レジリエンスという概念が注目されはじめたのは、1970年代、第二次世界大戦において、ホロコーストを経験した孤児たちの研究がきっかけの1つになったという。
孤児たちのその後を調査した結果、過去のトラウマや不安に苛まれ、生きる気力がもてない人たちがいる一方、そうしたトラウマを乗り越え、前向きに仕事に取り組み、しあわせな家庭を築く人たちもいる・・。
同じ経験をしながら、その後の人生が大きく違うのはなぜか?
―研究の結果、逆境を乗り越えた人たちには「思考の柔軟性」という、共通の傾向があるコトがわかってきた。
すなわち、きびしい状況でもネガティブな面だけでなく、ポジティブな面を見出せる人が、逆境を乗り越えるられる・・とゆーワケである。
―では、そうした”折れない心”をいかにして育てるのか?
埼玉学園大学の小玉正博教授は、初心者に上級者向けの難しいけん玉の技術をやってもらうという課題を与え、心の折れにくい人、折れやすい人の違いを見分けるというユニークな実験をしている。
すぐに挑戦をあきらめてしまう、心の折れやすい人に共通の傾向として、1回の失敗・成功ごとに一喜一憂するような感情の起伏の激しさ、さらに最初から「向いていない」「ムリだ」とあきらめている自己の能力への過少評価を指摘。
逆に黙々と挑戦し続ける、心の折れにくい人は、自分がだんだん成長していると感じる自己効力感や、いつか出来るだろうという楽観性をもっているコトも実験結果から得ている。まとめると・・
レジリエンス(逆境力)とは、
感情コントロール ・・(1回の失敗・成功ごとに一喜一憂しない)
自尊感情 ・・(自己の能力を過少評価しない)
自己効力感 ・・(自己の成長を感じる)
楽観性 ・・(いつか出来る!と信じる)
・・きびしい状況でもポジティブな面を見出し、自分のいる状況を前向きにとらえる「思考の柔軟性」というものを詳細に分析すれば、以上の4つに集約される・・というコトになろう。
”ストレス社会”と言われる現代、このレジリエンスを知識として、スキルとして知っておくコトで、きびしい状況を乗り越える上での助けになるのなら・・と、教育の現場や企業でも研修などで取り入れられているそうだ。
また、食生活や運動を変えるコトで、レジリエンスを養えるという。
脳のエネルギー源となるブドウ糖が少なくなると、集中力も落ち、感情の起伏が激しくなるといわれており、少量の食事を3時間おきにとるコトで、血中のブドウ糖を一定のレベルに保ち、感情をコントロールする力を高め、レジリエンスを高めるられるのである。
全力でのランニングを繰り返すインターバル・トレーニングでも、体力の限界を越えるコトで、自己効力感を養えるコトから、レジリエンス向上に役立つ。
世界100カ国以上に展開する米・大手製薬会社のグラクソ・スミスクライン社では、トレーニングに参加した1万人の社員のうち、約8割が職場におけるメンタルヘルスが改善され、仕事のパフォーマンスが上がった(!)という。
真に生きる力とは、成功を続ける力ではなく、失敗を乗り越える力である。
よりしなやかに、「剛」より「柔」・・。
変化する状況に前向きに、しなやかに、柔軟に対応する”折れない心”―レジリエンスこそ、今、すべての人に求められているものなのかもしれない。