”悪玉コレステロール”といわれるLDLコレステロール(Low Density Lipoprotein cholesterol)。
コレステロールを全身に運ぶ、肝臓で作られた低比重リポ蛋白のコトで、血中にLDLコレステロールが多くなりすぎると、血管壁に入り込んで酸化させ、血管をボロボロにして動脈硬化などの原因になる。
また一方で、細胞壁を作る材料でもあり、体になくてはならないものでもある。
これに対し、”善玉コレステロール”といわれるのが、血管壁にたまったコレステロールをキレイにさらってくれる掃除屋、HDLコレステロール(High Density Lipoprotein cholesterol;高比重リポ蛋白)。
最新の研究で、心筋梗塞などの動脈硬化性疾患は、高LDLコレステロール値だけではなく、LDLコレステロールとHDLコレステロールのバランス異常が主な原因だと分かってきている。
脂質バランスの指標は、LDLコレステロール÷HDLコレステロール=「LH比」。
動脈硬化性疾患を防ぐには、LH比2.0以下、高血圧や糖尿病など複数の生活習慣病を持っている人、心筋梗塞や脳梗塞の再発予防にはLH比1.5以下が望ましいそうだ。
実際、2004年1月から’08年12月までの4年間で、日本大学板橋病院心臓外科で冠動脈バイパス手術を受けた重症患者245例の平均LDLコレステロールは 119.2mg/dL、HDLコレステロールは43.2mg/dLと、どちらも基準値内(!)だった。
ところが、LH比の平均は2.98!
さらに、「コテコテの動脈硬化のため全身の血管がボロボロの患者」は、LDLコレステロールが正常でも、HDLコレステロールが低く、LH比が3.0を上回っていたのである。
また全身の動脈硬化の状態を反映する、頸動脈の血管壁の状態が、動脈硬化で分厚くコブ状になっていた人も、LH比2.0以上の患者で、はるかに多かったそうだ。
この”善玉”HDLコレステロールの「掃除力」が、”悪玉”LDLコレステロールの「ゴミため力」を上回り、LH比が2.0から、限りなく1.0に近づくほど脂質異常症から動脈硬化、そして突然死・・という流れを阻止できる!
たとえ、LDLコレステロールが基準値を上回る160mg/dLでも、HDLコレステロールが80mg/dL以上なら、あわてずに生活習慣の改善を図り、LDLコレステロールを基準値内にすれば、LH比2.0以下を達成できるのだ。
その点で今、注目されているのが動脈硬化進展阻止・退縮治療。
LH比を1.5以下に管理するコトで、動脈硬化を予防するばかりか、すでに出来上がった動脈硬化を治し、赤ちゃん並みの若々しい血管を取り戻す方法だ。
基本は運動療法で、HDLコレステロールは運動療法によく反応し、朝夕2回、30分程度のパワーウオーキングを数ヵ月続けるだけで数値が劇的に改善されるという。
(カテゴリー/健康メモ:「パワーウォーキング」参照http://blog.goo.ne.jp/kinto1or8/e/53845fb759ee9114660be385890b09a7)
そして、言うまでもなく、”悪玉”LDLコレステロールが増える原因は、油のとりすぎ。
ファーストフード、カップ麺などのインスタント食品、スナック菓子など、油分の多いものは、なるべく控える。
逆に下げることができる食品は、大豆、ナッツ、昆布、もずく、干しシイタケ、ゴマ、緑茶など。
緑茶は、カテキンがコレステロール値を下げ、大豆も動脈硬化に絶大な効果があるそう。
豆腐や納豆を毎日食べるコトは非常に効果があり、日本の平均的な朝食は、理想的といえよう。
健康診断では、HDLコレステロールとLH比に要注意!