犬猫と日向ぼっこ

ミックス犬と二匹の猫と一緒に送る毎日の記録と庭の草花の栽培日記。また、旅行先での記録などを綴る。

夫の思い出

2006-10-23 08:55:54 | 夫の思い出
小学校が近いので時々、「秋の夕日に 照る山もみじ~」と音楽教室から

懐かしい歌が聞こえてくる。

日中は半そででもOKなのに、夕方の日暮れは早くなり肌寒くなる。

この時期の夕暮れは、ちょっと寂しくなる。

5年前の10月中旬、夫は胃がんで摘出手術を受けた。

その日、私と娘たち、夫の兄弟 私の兄で手術室へ向かう夫を見送った。

時間もかかるので、私たちだけにして他のきょうだい達には帰ってもらった。

「何かあったら連絡します」と言うことで病院のポケベルをもって、待合室で

手術の終わるのを待った。どのくらい経ってからだったろうか2時間も

経っていなかった頃、鳴らないことを祈っていたベルが鳴った。

手術室前に慌てていくと看護婦さんが私だけを中に入れて、手術着のようなものに

着替えるように言った。着替えると抱きかかえるようにされて、夫のいる

手術室に連れて行かれた。

麻酔をかけられて眠っている夫がいた。そして、その周りには何人かの

医師がいた。主治医が病状の説明をし、胃は摘出が難しいと話した。

医師の視線は私に注がれていた。

「これからはひとりなんだ。ひとりで何でも決めていかなくては

いけないんだ」と、その時思った。

ふと、涙を一生懸命こらえた目で見上げると、一人の医師と目が合った。

マスクなどで顔は隠れていたが、前日面談を受けた麻酔科の医師である事は

分かった。私をじっと見つめる目は心配してくれているように見えた。

この日から5ヶ月「胃は摘出したから大丈夫」と、夫に嘘をつく生活が

始まった。






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