ここのところ文章の書き方について書かれた本を何冊か読んだところ、「文章の書き方」とテーマされた本というのは、「文章を書くに当たっての技術を重視する本」と、「人に読ませる文章のテクニックを重視する本」の二つに分類されるというのが判りました。先日感想を書いた「日本語の作文教室」は前者に属し、今回感想を書く「大人のための文章教室」は後者に属すると言えましょう。
「人に読ませる文章のテクニックを重視する本」に属すると言っても、序盤では色々な接続詞を紹介してくれたり、句読点の打ち方を説明してくれたりなど、文章を書くに当たっての技術も説明してくれています。
そうは言っても本書の特徴は、筆者が今までの経験から得た「人に読ませる文章を書くにあたっての技巧や裏技」と言えましょう。手紙や紀行文、随筆といった個人的な物から、企画書のような公的な物まで色々な文章を書くに当たってのテクニックを説明してくれ、かつそのテクニックを筆者独特の軽快なテンポで説明してくれるので、純粋に読み物として面白かったです。
しかしこの良い意味での「小手先のテクニック」は、前述したように多くのジャンルに渡って書かれている為、反面どのジャンルの説明も掘り下げが浅くなってしまい、読み終わって「色々な文章を書くに当たっての、広く浅い小手先のテクニック集」との印象を持ちました。
個人的には、期待していた歴史の記事を書くに当たって応用出来るようなテクニックは書かれていてなかったので、読み物としては面白かったものの、得る物は殆ど無かったというのが正直な感想です。