今日は半ば防備録代わりに、現在所有している米沢藩の戊辰戦争関連史料を挙げて、今後の活用に繋げたいのと、今後米沢藩の戊辰戦争を調べたい人の役に立てば良いと思い書きたいと思います。
「上杉家御年譜」
「米沢藩戊辰文書」
「戊辰紀事」:上杉文書収録
まずこの三つが基礎史料ですね。「上杉家御年譜」と「米沢藩戊辰文書」は有名なので説明は省きますが、お勧めなのが「戊辰紀事」。これは昭和初期に完成した二次史料ながら、郷土史家の故伊佐早謙(旧上杉家家臣)が多数の史料をまとめて時系列で書かれた物ですので、非常に参考になり米沢藩の戊辰戦争を調べるには基礎史料にすべきと思っています。難点は「御年譜」や「戊辰文書」のように活字印刷ではないので、読むのに苦労する事ですが、筆ではなくペンで書かれているので、頑張れば専門教育を受けていない私でも読めていますので、専門教育を受けて無くても十分読めます。この史料がもっと世間に広まれば、米沢藩の戊辰戦争史研究はもっと進むのではと思っています。
「史談会速記録」の千坂高雅の供述
「甘粕備後継成異聞」
上記二つは米沢藩総督の千坂高雅と、参謀の甘粕継成のそれぞれの記録です。それぞれ後世読まれるのを意識しているので、自己弁護の感は強いものの、戊辰戦争時の米沢藩の軍政府上層部の任にあった者の証言ですので、こちらもやはり必読かと。総督と参謀と言う米沢藩兵のNo1とNo2にも関わらず、両者で微妙に考えが違うのが伝わって来るのが興味深いです。難点は前述のとおり、両者とも自己弁護が激しい事。特に甘粕の方は日記を丸々書き換えたのか、7月以降は自分が指揮した越後線戦についての供述がないので、肝心の第二次長岡城攻防戦から、その後の第三次長岡城攻防戦、そして同盟軍の戦線崩壊時の参考には使えません。
「越後之略記」:家老色部久長家来の日記
「越後出陣日記」:小隊長徳間久三郎の日記
「越後戦争日記」:半隊司令(大津英助小隊)丸山亭四郎の日記
上記三点は実際に戊辰戦争に参加した藩士の日記、家老色部の家来から、実際に小隊を率いた小隊長や半隊長のの日記で、特に後者二点は前線の様子が描かれている貴重な史料です。しかも凄いのが、このような貴重な史料が活字化されて誰でも読める事。上級士官から前線指揮官の供述が活字で読めるのは、他藩を調べている人に比べれば恵まれていると思います。
他にも小隊長松木幾之進の日記もありますが、こちらは活字化されていなく、しかも「戊辰紀事」のようにペンではなく、筆で書かれているので、読む事自体が困難なので参考資料には出来ていません。
他にも参考史料や先行研究はたくさんありますが、自分が調べる時に基礎史料としているのはこの八点です。米沢藩は他藩に比べて史料が豊富だと思うので、もっと調べる仲間が増えれば嬉しいなと思っています。
ちなみに私自身は現在「御年譜」「戊辰紀事」「史談会速記録」、他には木滑要人の日記から、米沢藩が戊辰戦争に参戦した経緯を纏めています。何とか今年中にはまとめたいのですが・・・。また「戊辰紀事」のテキスト化をライフワークに出来れば良いなとも思っていたりします。