歴声庵

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浅羽道明著 「右翼と左翼」

2007年05月06日 22時05分09秒 | 読書
 右派と左派について「何となく」は判っている気でも、具体的には判らなかったので、タイトルを見て興味が湧いたので購入してみました。
 単に右派思想と左派思想について対比しながら説明するだけでなく、何故右派思想と左派思想が誕生・発達したのかを歴史(思想史)と説明してくれているので、私の様に基礎知識が無い者でも判りやすく読めました。また日本での左派・右派思想の発達を説明してくれていますが、日本での左派・右派の思想発達を明治維新からと書かれており、面白かったのが右派思想の象徴と言われる天皇制ですが、明治維新時は明治天皇が改革の象徴だったのだから天皇はむしろ左派の象徴であり、「王政復古」を唱える右派としては徳川家こそ信望の対象ではないかと言う意見は同調出来るかは別として、面白い意見だと思いました。またこの筆者は初期の明治政権を国権派の右派を山県、左派を伊藤、議会派の右派として板垣と大隈の名を挙げていますが、この様に思想史の面から維新史を学んでみるのも面白いかなと思いました。
 最終的に筆者は左派が民衆の平等と自由を謳っている以上、全てとは言えないが国民の大半が豊かになった現代の日本では、左派の存在意義は薄れていると言う意見は考えされるものがありました。また左派の影響力が弱まった事により、相対的に右派の存在意義も薄れ、結果的に現代の日本では左派思想も右派思想も今やサブカルチャーに成り下がってしまったと言うのには、過激な意見と思う反面「なるほど」と納得出来る部分もありました。昔はインテリぶる若者が左派思想に飛びついていたのに、現代はインテリぶる若者が右派思想に飛びつくのが不思議だったのですが、この本を読んでその理由が少し判った気がします。
 本格的に思想史を学んでいる方には物足りない内容かもしれませんが、私の様に入門書が読みたい方にはお勧めです。

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