kenharuの日記

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鷹の渡り、帆翔と滑翔

2024-01-17 | 野鳥
サシバが登場したついでに、昔書いたエッセイをもう一本。
古ネタのコピペで恐縮だが、鷹の「省エネ飛行」について書いた話。
興味のある方はどうぞ。

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タカの渡り、帆翔と滑翔 

「帆翔」という言葉にはゆったりとした響きがある。
翼に風をはらみ、青空を背景に悠然と舞うタカの姿が眼に浮かぶ。
タカの渡りは、晴天の日の上昇気流を捉え、羽ばたくことなく帆翔し高度を上げて、次にグライダーのように空を滑る「滑翔」で旅立つ。

高さをどれだけの移動距離に変換出来るかを滑翔効率と言うそうだが、ノスリの滑翔効率はおよそ11・・・高さの11倍の距離を滑翔出来るらしい。
500メートル上空から滑翔すれば5.5kmを移動出来る計算となる。
ちなみにグライダーの滑翔効率は35もあるそうだ。
タカがさらに遠方へ飛ぶためには、次の上昇気流をみつけて再び高度を回復する必要があり、単純化して言えば鋸刃型の飛び方をすることになるわけだ。

タカの渡りは、羽ばたきを節約した省エネ型の飛翔に特徴があるのだが、上昇気流や上向きの風を捉えなければならないぶん、天候や地形や時刻に依存し制約される。
だから、上昇気流の発生しやすい地形や、上向きの風が生じる尾根沿いの通路などが、タカの飛ぶコースに不可欠となる。
渡りに好都合な条件が限定されるために、自ずとタカたちは同じ時刻に同じ場所に集まるのではないだろうか。
集まった多数のタカが上昇気流をとらえて「タカ柱」状態となるのは、仲間の動きを見ることで上昇気流を「可視化」し、最適な位置を探るためだとの説もある。

上昇気流は陸上で発生し水上では発生しにくいから、タカは広い水域を越えるのを避け、陸地沿いか島伝いのコースをとることになる。
日本のサシバは琉球列島伝いにフィリピンに渡るし、北米から南米に渡るタカは中米の狭い回廊を通り、欧州からアフリカに渡るタカは地中海を東か西に迂回して、イスラエルかジブラルタル海峡を通る。
イスラエル空軍は、ノスリ等と衝突して戦闘機が墜落する事故が多いため、レーダーで渡り鳥の監視をしているという。
レーダーに映るほど多くのタカが一斉に渡るのである。
このデータは渡りの研究をする動物学者たちの有益な資料になっているそうだ。



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