■■愛子という女性 連載小説 経営コンサルタント竹根好助の先見思考経営 55
昼は休みに読むブログ連載小説です。経営コンサルタントとどのようにつきあうと経営者・管理職として、プロ士業として一歩上を目指せるのか、小説を通じて体感してください。
【本書の読み方】 脚注参照
ブログ発行の不手際により、一部の原稿が重複していることがあります。
■5 ビジネスドックとの出会い 5 通算55回
「ビジネスドック」の説明を受けるために印刷会社ラッキーの幸社長は、経営コンサルタント竹根好助の訪問を受けた。竹根と愛子の初めての出会いである。
【回想2 1980年代】
「先生、こちらは私の秘書を永年やってくれている牧神愛子です」
「牧神さんですか。竹根です」
「先日は、ご挨拶もせず失礼しました。牧神愛子と申します」
「愛子さんは、先生が今日おいでになるというので、わざわざ神楽坂まで行ってそのお茶と湯飲み茶碗を買ってきたのです」
「エッ!私のためにですか?わざわざ?」
「わざわざということでもないのですが、会社の帰りに気晴らしに神楽坂を回っただけです。そのときに、この茶碗が先生にぴったりのように見えたのです。先生がこれからずーっと私どもの会社に来てくださるとお聞きしていたので衝動買いをしてしまいました」
愛子は「ずーっと」という部分を強調した。
「そうですか。ありがとうございます」
座っていた竹根は、立って深々と頭を下げた。
「あら、先生に頭を下げられたりして、私・・・こちらこそ、よろしくお願いします。その茶碗が先生のご趣味に合いますか心配です」
牧神は、しどろもどろである。
「いえいえ、気に入りました。これは萩焼ですか?」
「ええ、そのように表示されていました。お気に召しませんか?」
「それどころか、大変気に入りました。先般、久しぶりに家内を連れて山口に行ってきました。そのときに萩にも寄り、記念に夫婦茶碗を買ってきたのです」