■【成功企業・元気な会社・頑張っている社長】 社長不在でも経営していける強力体制目指す 8718
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■ 社長不在でも経営していける強力体制目指す 8718
高保製薬工業(福島市)は、業務用食品および食品添加物製剤の商品開発から製造・販売・品質管理まで一貫して行う総合メーカー。社名の「製薬」は、1946年7月に医薬品と医薬部外品製造・販売会社として創業した名残だが、食品添加物の製造に事業転換して約50年の実績を持つ。日本食品添加物協会が定めた「食品添加物の製造管理及び品質管理に関する自主基準」(GMP)の認定も取得し、現在は5代目代表取締役の高橋美帆氏が粉体と液体の2つの工場をフル稼働して、加工食品の安全・安心に尽力している。
しかし、歩みは順風ではなかった。経営と現場を一手に担っていた先々代(父・茂光氏)が乳製品の製造工場を新設し、稼働を目前に急逝。急遽跡を継いだ先代(母・良子氏)には、先々代と接点のあった外部の経営実務経験者が取締役に就いてサポートした。高橋氏の代表取締役就任は2014年。先代の時代に参加した取締役が定年を迎える時期と重なったこともあって経営陣を一新した。自らは経営方針を示し、製造や営業など5部門の課長と意見交換しながら事業を進める体制に切り替えた。
5人の課長には担当部門に応じて、中小機構が運営する研修機関「中小企業大学校」の仙台校で、経営管理者養成コースと工場管理者養成コースを受講させている。当初は、多忙にもかかわらず業務以外の研修に時間を割かざるを得ないことに反発もあったが、受講の成果で月次決算書に関心を持つまでに責任意識が高まり、部下が指示通りに仕事を進められなかった際に指摘できるほど成長したという。
高橋氏は、先々代の不幸で苦労した経験から危機管理意識を持ち、社長不在でも会社を経営していける強い体制構築を目指している。とりわけ財務諸表の読み取りをはじめとする人材教育に熱心だ。課長たちには、物心両面で豊かな社員を育ててほしいと願いつつ、課長を支えるべき係長の育成にも着手している。月次決算書は一般社員にも開示して、経営意識の共有に努めている。
高橋氏自身も経営管理者養成コースの受講経験を持つ。取締役になっていたものの、先々代亡き後で会社は混乱。売り上げは伸びているにもかかわらず留保が減る事態も起きて財務知識の不足を痛感し、自ら受講を決めた。「数字の見方を学んだことで損益計算書だけでなく、貸借対照表、キャッシュフロー管理もしっかりできるようになった」と会社の再建を振り返る。現在の経営ビジョン「小さくても強い会社」は、この時に作ったもの。先々代急逝で稼働がままならかった液体新工場も、今では主戦力になっているという。
出典: e-中小企業ネットマガジン掲載承認規定に基づき作成
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