■■【連載 経営トップ15訓】 第5訓 「社員(会員)の希望・要望に耳を傾け、経験からだけでそれを否定したり、無視したりせず、無心になって、その本質を考えてみる」
経営コンサルタント歴40年を記念して、経営トップの皆様だけではなく、経営士・コンサルタント・士業の先生方にもご参考になると信じ、ここにまとめてみました。
経営トップ15訓 ”当たり前”が実行できる
経営コンサルタント歴25年を経過した時点で、(特)日本経営士協会の理事長を拝命することになりました。その際に、自分自身を戒める意味で「理事長十戒」を作り、それを日々座右におきながら仕事をしてきました。
私の経営に対する考え方の基本は「当たり前のことが当たり前にできる」「暖かい管理ができる」、その様な企業作りのお手伝いをしています。
理事長歴も長くなり、そろそろ後任の選定やその人への傾斜引き継ぎを考える時期といえましょう。この十戒に加筆をして、企業や組織のトップ・管理職の方々に向けて焼き直したものを「トップ15訓」としてまとめてみました。経営トップの皆さんだけではなく、私自身にも必要なことなので「社員」という言葉と共に「会員」という言葉も使っています。
まだまだ内容的には不充分ですが、今後もこれをベースに推敲・改訂を重ねて参りますが、その第一版として茲にご披露させていただきます。トップの方々や管理職で日夜ご奮闘されている方に、少しでもご参考になれば幸いです。
第 5 訓 社員(会員)の希望・要望に耳を傾け、経験からだけで それを否定したり、無視したりせず、 無心になって、その本質を考えてみる |
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■ 企業の問題・課題は社員に聴け 経営コンサルタントという業務を職業にしていると、いろいろな企業に接することになります。それらの中には、自社の問題点を理解できていない企業やトップもいますが、大半のトップは、何が自社の問題点かを解っています。中にはその解決策までわかっている企業が多いのです。 そのことからもわかるように、社員に問題意識のある会社では、トップだけではなく社員もが問題点を認識していたり、解決策を持っていたりします。 従って、われわれ経営コンサルタントは、定期的に顧問先でヒアリングといって、社員の個別面談を行います。彼らの声に耳を傾ける一方、トップには、社員に問題意識を持たせることの大切さを再認識させるように働きかけをします。 ■ 社員の声を上手に聴く トップが、社員の言動を軽視して、自分の考え方を押しつけるだけであると、社員のモラールは上がりません。トップの考えが、いつでも正しいとは限らないからです。 ある企業のトップは、社員の声に耳を傾けようと一所懸命です。ところが、社員のいうことと自分の考えが異なると、折角社員が声を上げているのに、自分の考えを押しつけることになります。その結果、社員は何も言わなくなってしまいます。 またあるトップは、社員から提案があると「非常に良い提案だと思うよ。君がリーダーとしてその問題に取り組んでくれないか」と低姿勢で応対をします。 この対応は、一見すると「良いトップ」というように見えますが、社員の反応は異なります。「うちの会社では、何かを提案すると、すぐにその提案者にやらせようとする。言い出しっぺは、常に余計な仕事を抱えることになってしまう。もう、何も提案をしないようにしよう」ということになり、社員が声を上げなくなってしまいました。 社員(会員)から声が上がってきたら、それを、経営的視点でもって咀嚼するようにしてはどうでしょうか。 ■ トップの声は社員に届いていない 社員(会員)から上がってくる声の多くは、すでに実施したことがあったり、進行中であったり、これから実施しようとしていることです。頭ごなしに、「そんなことは解っている」と大声を上げてしまっては、社員は口を噤んでしまいます。 その様な声が上がる時というのは、トップの考え方や方針、経営理念や経営計画などが社員に徹底できていないことが多いのです。折角種々の施策をとったり、実施しようとしてのにもかかわらず、社員(会員)が理解や認識できていないのでは残念なことです。 なぜその様なことが起こるのか、問題・課題の本質を追究しなければ、違った形で、再び社員が不満を募らせることになりかねません。 また、その様なときに、トップが自分の考えをすぐに返すよりは、社員(会員)に考えさせることによって、社員(会員)自身が気づくことがあり、一方ではトップにも新たな発想が生まれるかもしれません。 平素から、クリティカル・シンキング的な発想をし、ロジカル・シンキングにより目の前の事象や今後について考える癖をトップとして持つ必要があります。 |