■【あたりまえ経営のすすめ】2部 管理編3-58 PDCAにもマニュアルの正しい使い方を
多様化の時代になり、ホンモノ智恵が求められる昨今です。
世の中には、「専門家」とか「プロ」と呼ばれる人が多数いらっしゃいます。
ところが、残念なことに、その大半というのが、「エセ専門家」「エセプロ」なのです。
管理職も、“真”のプロ管理職にならなければなりません。
ホンモノのプロ、要は「“真”のプロ」とは、どの様な人を指すのでしょうか。
エセプロの多くは、「あたり前のことが、あたり前にできる」ということを軽視しています。
「今の時代、最新の経営理論に基づく経営が重要である」と「あたり前」を蔑視をしている人もいるほどです。
では、「あたり前」とは、なんでしょうか?
「“真”のあたり前」を知らずして、あたり前を軽視して欲しくないですね。
あたり前は、その辺に転がっているのではなく、「あたり前は創るもの」です。
1970年代から、半世紀近くの経営コンサルタント経験から、最善の策ではないにしても、ベターな策を講じるための智恵をご紹介してまいります。
■ 2部 【管理編】 プロの管理職のあり方
本シリーズは、経営士・コンサルタントなどの経営専門業・士業の先生方を対象として、第1部の【経営編】をお送りしてきました。しかし、その内容は、視点を変えれば経営者・管理職のためのお話でもあります。ビジネス界においては、フレキシブルな視点の持ち方をできる人が高く評価されるのです。
筆者は、経営コンサルタントという仕事柄、しばしば管理職研修も実施してきました。その時に、必ずといって問うことは、「管理とは何でしょうか?」ということです。
管理職の皆さんは、よく勉強していて、私より立派な回答が返ってきます。
「では、それをどの様に実務に活かしていらっしゃいますか」と問いますと、期待するような回答が返ってきません。
難しいことを勉強しすぎているのではないでしょうか。知識と実務が乖離していますと、せっかくの知識が知恵として活かせません。
管理職として、「あたりまえ」なことが、実務で行われているのかどうか、謙虚に自分自身を見ることも大切なのではないでしょうか。
管理職は、「管理とは何か」「温かい管理」を正しく理解しなければ、部下からも、上司からも、社会からも正しく評価されません。
温かい管理とは https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/8b7833c2ebc019660a3813e9dedbf92f
ここでは、管理職なら誰もが知っているようなことを整理してみました。
知識としてはご存知のことでしょうが、それを実務に活かすにはどうしたらよいのかを考えてくださる契機となると幸いです。
■ 第2部3章 【管理編】 プロの管理職のための”新たな”PDCAと活用法
これまで第2章として、ホンモノのリーダーシップについてお話して参りました。
そのリーダーシップと不可分にあるのがPDCAです。
「いまさら、PDCAについて学ぼうとする人間なんていないよ」
「もう、PDCAは古い!」
このような声を聞くような時代になりました。それほど、PDCAが言い古されてきているのです。しかし、本当にPDCAが実行されているのでしょうか。そして、PDCAの効果が出ているのでしょうか。
多くの方が、知識として知っていても、実行に移せていない人が多いのが「PDCA」です。
一方で、「PDCAを常に意識しています」、という人もいます。ところが、本当にPDCAにより効果を上げられているのでしょうか?大半の方が、「効果を上げている”つもり”」であって、実際には、PDCAが適正に実行されていないがために、機会損失を起こしているのです。
正しいPDCAとは何か?
正しいPDCAの使い方とは?
謙虚に、再度、PDCAに取り組んでみては如何でしょうか。あなたのPDCAとは違ったPDCAがあるかもしれません。
■ 3-58 PDCAにもマニュアルの正しい使い方を
PDCAについて記述してまいりましたが、最後に「マニュアル」について、付け加えておきます。
マニュアルとは、「自社のノウハウを整理し、集大成した文書」です。従いまして、企業が成長するにつれて、マニュアルも成長してゆきます。
一般的には、「わが社としては、最低限、ここまではできて欲しいということを伝える”ものさし”」ですので、それを100%実行し、実効を挙げられるようにする努力目標でもあります。
しかし、「マニュアル人間になるな」という声を聞いた方も多いでしょう。
「マニュアル通りやればよいのであって、それよりベターな方法があっても余計なことはせず、マニュアルに従って作業さえしていればそれでよいのだ」、「別のよい方法があって、それを試して失敗するよりは、マニュアル通りにやる方が出世できる」というような、お役所的な、型にはまった人間作りを推進してしまうようなマニュアルの使い方が蔓延してしまうことは問題です。これでは、従業員も企業も成長しません。
「マニュアル人間になるな」というのは、マニュアルの効果やその価値を否定することではありません。「この様な手順で作業を進めれば、最低限要求される成果物を得ることができる」というのが、マニュアル本来の目的です。
従いまして、上述とは矛盾するようですが、能力のある人であっても、マニュアル通り作業をするのが「原則」です。
しかし、「マニュアルの成長が企業の成長の”ものさし”」ですので、マニュアル通りしていては、企業は成長しません。能力ある人やマニュアルの欠点や改善点に気がついた人は、マニュアルの改訂提案を積極的に行うべきです。
ある企業では、マニュアル改定提案の効果予測をして、それに応じた報奨制度が適用されることにより、社員のモチベーションを高めています。
一口に、「マニュアル」といいましても、いくつかの種類があります。
一般的なマニュアルというのは、ここでは「作業手順書」といわれます。マニュアルのオーソドックスな使われ方で、初心者でもわかるように作業を進める手順を詳説したものです。
「作業手順書」が、「作業従事者は、最低限度これだけは実行してください」ということを主目的としているのに対して、作業を進めるために、ヒントとなるような事項を中心に記述されているのが「作業者支援書」です。
その代表的なものが「営業マニュアル」です。
営業マニュアルは、営業活動の結果を基にして記述されます日報などをベースに蓄積したものです。過去の営業活動のノウハウがそこに蓄積されていますので、何か、判断に困ったり、新たな企画を立てたりするときのヒントを得ることができます。
ここでご紹介しています「温かい管理」を推進しますのに、基本となることの一つが、双方向コミュニケーションです。双方向コミュニケーションを行うときには、管理職は、報告者とは別の視点で、アドバイスをしたり、指示・命令を出したりします。
その時に、参考にするのが「管理職支援書」、すなわち管理職のためのマニュアルなのです。上述の「作業者支援書」と重複する部分が多いですので、そちらと兼用することもあります。
本来は、作業者支援書や管理職支援書に記述したいのですが、自社の現状の実力から、その実施はまだ先のことと思われる事項を、いまから蓄積して行くことを目的としているのが「わが社の目指す”目標書”」というマニュアルです。
新規事業を検討したり、次の経営戦略を立案したりするようなときのヒントとなることです。これらの多くは、日常の業務を通じて、報告書などに記述されていることからの転記でマニュアルの充実が図られます。
「マニュアルを適切に活用できる企業は成長する」という言葉を覚えておいていただけますと幸いです。
【 注 】 PDCA詳細情報
「ロジカル・シンキングがよくわかる本」(今井信行著 秀和システム刊 1,760円)の第3章5節で詳しく説明しています。
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