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【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業2 思いは叶うか 2-2 初代所長の決定に納得できず

2023-12-02 07:42:04 | 【小説】竹根好助の経営コンサルタント起業

  【小説風】竹根好助の経営コンサルタント起業2 思いは叶うか 2-2 初代所長の決定に納得できず

 

■ 【小説風】 竹根好助の経営コンサルタント起業 

 私は、経営コンサルタント業で生涯現役を貫こうと思って、半世紀ほどになります。しかし、近年は心身ともに思う様にならなくなり、創業以来、右腕として私を支えてくれた竹根好助(たけねよしすけ)に、後継者として会社を任せて数年になります。 竹根は、業務報告に毎日のように私を訪れてくれます。二人とも下戸ですので、酒を酌み交わしながらではありませんが、昔話に時間を忘れて陥ってしまいます。それを私の友人が、書き下ろしで小説風に文章にしてくれています。 原稿ができた分を、原則として、毎週金曜日に皆様にお届けします。

【これまであらすじ】

 竹根好助は、私の会社の後継者で、ベテランの経営コンサルタントでもあります。
 その竹根が経営コンサルタントに転身する前、どのような状況で、どの様な心情で、なぜ経営コンサルタントとして再スタートを切ったのかというお話です。

 1ドルが360円の時代、すなわち1970年のことでした。入社して、まだ1年半にも満たないときに、福田商事が、アメリカ駐在事務所を開設するという重大発表がありました。
 商社の海外戦略に関わる人事案件なので、角菊貿易事業部長の推薦する三名を元に、準備は水面下で慎重に進められていました。その中に竹根の名前が含まれていることは、社員の誰もが思いもよりませんでした。
 討議を重ねた結果、福田社長は、海外戦略にも関わる高度な人事の問題なので、専務と社長に一任してほしいと言って三者会談を終えることにしました。しかし、後日、角菊事業部長は、最終的に、自分が推薦した佐藤君ではなく、竹根に決まったと聞かされます。

【最新号】
     https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/e/df916bf90c90af79c63e414b754e25b3
【バックナンバー】
  https://blog.goo.ne.jp/keieishi17/c/c39d85bcbaef8d346f607cef1ecfe950
【過去のタイトル】
 1.人選 1ドル360円時代 鶏口牛後 竹根の人事推理 下馬評の外れと竹根の推理 事業部長の推薦と社長の思惑 人事推薦本命を確実にする資料作り 有益資料へのお褒めのお言葉 福田社長の突っ込み 竹根が俎上に上がる 部下を持ち上げることも忘れない 福田社長の腹は決まっていた

 2.思いは叶うか 初代アメリカ駐在所長が決定

■■ 2 思いは叶うか

 私の会社を引き継いでくれた竹根が、経営コンサルタントになる前の話をし始めました。思わず私は乗り出してしまうほどですので、小説風に自分を第三者の立場に置いた彼の話を、友人の文筆家の文章を通して、ご紹介します。

◆2-2 初代所長の決定に納得できず

 伊田課長が、角菊の前に立っているのに気がつく。
「事業部長、何をお考えだったのですか?」
「いや、別に・・・」
 伊田は、事務機械関連の輸出担当の二課の課長である。実務肌の伊田は、角菊に何かと提案をしてくれ、それが売上寄与に繋がって大きな功績を残している頼りになる男である。


――このように有能で、実務経験豊かな男がいるのに、なぜ社長は、竹根のような若造を駐在員として派遣するのだろう――


 伊田の声で、また現実に戻った。
「事業部長、いよいよ、アメリカのマッキーバー事務機の親父(おやじ)が日本に来ることになりました。今、彼からの手紙を読んだところです」
「そうか、これで年間一億六千万円の売上が今年も確定だね。でも、電卓の出現で、加算機の市場がいつまで続くか、そっちの心配があるな」
「鎌倉の研究所の電卓開発状況は、先日お話したように、価格的にはまだ一台三十万円以上の定価をつけざるを得ないので、このまま量産に入っても、それほどのコストダウンにはつながりません」
 福田商事は、商社ではあるが、電子機器関連や事務機器の一部は子会社で開発したり、製造したりしている。商社としてはユニークな存在で、そのために近々一部上場が認められそうだという段階に来ている。
 マッキーバーの件を報告すると、伊田はサッサと自分の席に戻った。


――彼のような男がアメリカに行けば、電卓市場が確立する前に販売チャネルを作ることも可能であろう。やはり、社長には考え直してもらった方がいいのかな――


 優柔不断を絵に描いたような角菊は、竹根に内示を出さなければいけないのに、自分にいい訳をしながら、ついにその日は終わってしまった。

  <続く>

■ バックナンバー

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