よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

ありがとう鹿児島

2010-10-26 07:10:56 | Weblog
鹿児島在住最終週を前に、高千穂峰へ登山しました。道はガレ山で今までで一番登りにくい。しかし景色は雄大でした。噴火によりパックリ割れた地表の断層がみえ、斜め45゜に奇麗に山肌が滑走していた。彼方の桜島や山並みが美しいグラデーションを見せている。火口では硫黄の煙がところどころ立ちのぼっていた。
山頂からみる世界は美しく見えました。

下山後、鹿児島県立美術館の田中一村展を観に行きました。奄美に行くより前の作品が7割りという珍しい内容で、幼少の南画の天才早熟期から院体画や西洋絵画風、倣古期間から旅の時代、写真導入など、一村の器用さと自分の絵を掴むまでの変遷がとても感じられます。新たなる全貌と副題のあるこの展覧会は一村という画家をあらためて発見させられます。

自分の絵を描くために奄美に来た一村ですが、それ以前のどの時代の作品を見ても、遜色ない達成度の作品を描いています。それでも一村は自分の絵に辿り着くまで多くの年月を必要としました。
一村の奄美の作品は、なんだかとても感傷的な気分の美しさがあります。水墨の静かな作品やアダンは、より一村の内面が滲み出ているように感じます。熱気ではなく、どこかせつない南国風景は、ひっそりと蔭から外の世界をみているかのように、隙間から空や海が見えています。奄美の作品は、観る度にじわじわとみえてくるものがあるのです。

その日は帰りに奄美料理の店で島唄を聞きながら鶏飯や豚の柔らか煮を食べました。鹿児島の地ではいろいろな世界をみせていただいたように思います。
ありがとうございました。

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