よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

春の奈良京都 浄土往来

2009-03-29 18:22:47 | Weblog
奈良からバスに乗り、浄瑠璃寺に行く。九体阿弥陀と吉祥天で有名なこの寺は伽藍配置を含めて非常に興味深いところだった。
あたりに野仏がみられるところを抜け、彼岸と此岸にたって景色を見渡す。朝の涼やかで清澄な空気が、ひそかに空間を荘厳ならしめているかのようで、美しい静けさの中にぽつりぽつりと歩んでいた。
阿弥陀堂の中はまた、濃密な世界だった。吉祥天と厨子(厨子の絵は東京芸大の模写)の美しい空間は圧巻だ。また、九体阿弥陀というこの着想と空間。しばし、ここから宇宙と対話する。

浄瑠璃寺を後にしてバスでJR奈良から電車で法隆寺へ。
ここはまた緩やかな時間がながれる。北小路という陽のひかりが優しく入る静かな店で山菜等の定食を食べ、夢殿、中宮寺へ。救世観音は観られなかったが、桜が美しく典雅に咲いていた。夢殿の建築自体も隙間なので満喫する。中宮寺はやはりあの微笑みである。柔らかく美しい姿だ。
法隆寺の参道は土壁や道の広さからも、なにか他とは違う時間が流れているように感じる。中央の伽藍の脇道に入ると峰薬師がある。なかなか立派な薬師で個人的には好きな部類の姿をしている。
そして伽藍内に入り、五重塔へ。ここは中に塑像群があり、以前から気になっていた。網で様子は少しわかりにくいが、搭の中にこんなものがという驚きがある。
横には、かの金堂がある。柱には立派は龍が巻き付け、柱も鬼ではなく、貘や獅子が支えている。
いよいよ内部へ。
図版では知り得ない空間がある。釈迦三尊の装飾的と思われた衣が、なんとも美しく舞っている。穏やかで優しく、典雅な姿だ。空間の濃密さと柔らかな本尊は典雅な世界を生み出している。
講堂は薬師と脇待、四天王がいる。こちらも立派で脇待がまたよい。
宝物館では白鳳仏の数々、玉虫厨子、百済観音他素晴らしいものばかり。
時間を忘れて眺められる。
 京都に戻ると少し花でも観て歩こうと花見小路から円山公園へ。京都ノサクラはやはりこのあたりの民衆の桜がまたよい。ここらは毎年ふらっと寄り道する。街中にあるからふらっと寄れるのが魅力。祇園の桜は花街の空気や沢山の人に見られるせいか、妖艶で美しい。夜桜は格別でいつみても魅了される。毎年、花の咲き具合をみて、元気な姿を観てほっとする。
ふと赤毛氈の提灯の下をみると、舞妓が数人お客に連れられ酌をしている。村上華岳のあの華やかで色気ある花見の絵を思い出す。
春の京都を感じるひととき、再び花見小路を通って駅へと向かった。

春、仰げば尊し

2009-03-29 05:38:47 | Weblog
 大学の恩師の退官パーティーに参加。前日準備にも行ったが、思ったより早く終わったので、帰りに千家十職の大西清右衛門美術館に行く。みんぱくとのコラボ展で、釜をマジマジとみるのは初めてだが、なかなか面白い。みんぱくでも、当代の感覚はなんか毛色が違って感じて面白かった。久々にニュートロンにも寄る。

退官パーティー当日はあいにくの雨天。年度により人数はバラバラだが、36期で350人集まった。同級生は会場には少なかったが、懐かしい人達は多くいた。皆さんそれぞれの道を行っていて、元気そうでなによりでした。
不思議なものだと思いつつ、ふと生きている時間というものが頭をよぎった。

祝福の空間というのは、なんともすがすがしくて心地よい。人の繋がりや思いが少しずつ集まって、規模に関わらず優しい気持ちになれる。
 「これからも益々描き続け、皆さんに案内状を送ります。」と力強い恩師の宣言は、老いて益々なんとやらだなと。
 記念品には日本画には馴染みの深い連筆や梅皿、両先生の似顔絵付きの手ぬぐい。同学科生しか欲しがらないレアモノだな。

あおげば尊し、手ぬぐいは身近し。

ア女の宅急便

2009-03-24 22:25:50 | Weblog
夕方に一通のメールが届きました。
内容は「堂島ロール届けます。」
これはblogを見たに違いないア女からのメールでした。
気になっていた堂島ロールが向こうからやってきた。しかも預けものもあったので一石二鳥のサプライズ。

紅茶を入れて早速食べる。生クリームが美味しく、たまごの生地もやわやわです。これが噂の堂島ロールかぁー、と半ロールぺろりと食べたが、生クリーム的にそれ以上は美味しく食べれないなと、やむなく冷蔵庫で明日へと持ち越し。

ア女の宅急便でおいしさと優しさにつつまれたならー♪でした。
 ごちそうさま-!明日も元気にがんばるぞー!

大阪さんさん

2009-03-16 07:46:04 | Weblog
高校時代に知り合った作家の展覧会に行く。知り合ったのは僕がまだ高校生で、作家は大学の卒業制作や団体展で賞をとり、ちょうど初個展を京都の某ギャラリーでしていた。抽象の油絵を描く彼女は元気な大阪のねぇちゃんだった。折々にDMをいただき、見に行ける時は顔をあわせた。
毎回行ける訳ではないのだが、いつも観る時は作品の転換期で、次はまた違う事をするのかな、そういう時期かなという頃というか、節目に僕は現れるらしい。もう、10年ぐらいになるから、向こうはお母ちゃんの気分で、「あんた大人になったな~。」とたまに合う親戚のように声をかけられる。いろいろと事に振り回されながらも、作家として個展や企画展、賞などもとりながら、マイペースに自分と作品に向き合い続けている姉さんに会い、嬉しく懐かしくお腹も減ってご飯を食べるのでした。

大阪の万博記念公園が無料開放日だったので、みんぱくと民藝館(は常設のみ)がタダではいれた。民藝館は柳さんの茶と美という企画展示もあったが、こちらはまだまだ日もあるし、有料だからさておき、常設側からはいると藍の絞り着物11点と刺し子着物7点が十字架のように壁に天井高くまで張り付き並べてあり、聖堂に来たかのような気分になる。筒描きや大瓶もならぶが、藍の美しいそれらにまずは圧巻である。これはインスタレーションだ。前回は籠と蓑が壁を埋めていたが、これらの木綿の着物の空間はとても美しかった。また、その親しみ易さから着てみたいとも思う。
二階にあがるといつものそばちょこコレクション。別室ではグレゴリオ聖歌譜面やイギリスの古陶スリップウェアの優品が並ぶ。前回とこの部屋は変わらなかったが、変わらなくてかえって嬉しい。

 みんぱくは千家十職の匠達がみんぱくの所蔵品からピックアップして併設と、コラボレーションやインスパイアされて新作を作るというもの。また、技術の面から世界の民藝と共通点を見出だすというもの。常設もかなり重厚なので今回はパス。

 堂島ロールは残念ながら売り切れ。やっぱホワイトデーだしな。

 grafでは鳥取特集。気になる窯元のものが来ていましたが、因州中井窯とか牛の戸窯とかは来てなかったので気になります。あとはギャラリーでの浅井裕介さんの作品も観る。横浜でも見ていましたが、柔軟性が好きです。

大阪散策は天気もよくてなかなか良日でした。

静聴せよ!(それは三島由紀夫)

2009-03-07 21:07:15 | Weblog
映画の日にひさびさに映画を観た。実家の最寄り駅は二駅あるのだが、大日にはイオンモールが出来てワーナーが入っている。おくりびとはみれなかったが、少年メリケンサックとベンジャミン・バトンを観る。ついでイオンモールを散策。
 ショップでCDを試聴するのも久しぶりな気がする。最近はいただいたCDを聞いているのだが、またいろいろ聞くと聴覚から刺激されて楽しい。アイリッシュハーフのマリエさんのカヴァーアルバムの声に癒されるフツーの男子?な一面も現れ、年度末になり疲れているのかと何故か自省する。Jazzはマイルスの状況録音CDも良かったけどファイヴコーナークインカルテットもカッコイイ。好きな感じのスイング感。
坂本龍一の新作アルバム Out Of nOise も試聴。フリーペーパーに、このアルバムの事が書かれていて気になっていた。
コンセプトも音も体感的に刺激してきて面白い。ひとりで聴きたいタイプのCD。音楽というより、音でイメージをコラージュするような。抽象と具象が響きあうような、どちらにもふれないイメージ。音の素材を見立て、並べ、音でひとつのイメージを演出しました。それを物語のようなルバムにしました。という印象でした。
 
音楽といえば、マツタケダイスケさんのコンサートが近日滋賀で行われます。

ひとつは滋賀の湖東三山、金剛輪寺のある愛荘町。
日時:2009年4月26日(日)13:00 open/14:00 start
会場:蔵元 藤居本家 けやきの大広間(滋賀県愛知郡愛荘町長野1769)
入場料:一般 2,000円 高校生以下 1,000円(全席自由)

昨年リリースしたピアノソロアルバム『una corda』を全曲演奏。
総けやきの空間から生み出される音色と、美酒の香りにつつまれる一時…。*LIVEの前(13:00~)には、藤居本家の酒蔵見学と試飲をお楽しみいただけます!

ご予約・お問い合せ:藤居本家 
TEL: 0749-42-2080 FAX: 0749-42-3047
http://www.fujiihonke.jp
e-mail: tetujin@mx.biwa.ne.jp
主催:おとのば


もうひとつは膳所です。こちらは僕も是非楽しみに行きたいと思っています。

日時:2009年5月30日(土)18:00 open/18:30 start
会場:滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール 小ホール
入場料:一般・前売り 2,500円(当日 3,000円)
 青少年(25歳未満)・前売り 1,500円(当日 3,000円)*全席自由
 チケット発売日:3月7日(土)10:00~
 *6歳未満のお子様はご入場いただけません。

<プログラム>
マツタケダイスケ:「una corda」より
マツタケダイスケ:新曲(タイトル未定)
湯浅譲二:内触覚的宇宙
武満徹:リタニ
吉松隆:レグルス回路

<チケット取り扱い>
しがぎん経済文化センター TEL: 077-526-0005
びわ湖ホールチケットセンター TEL: 077-523-7136(窓口販売のみ)

主催:おとのば
お問い合わせ・協力:しがぎん経済文化センター
後援:滋賀県、滋賀県教育委員会、大津市、大津市教育委員会、関西桐朋会、数寄和

 マツタケさんの音楽世界を皆さんも是非、体感して下さい。