よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

福島ビエンナーレその2

2012-09-24 20:29:47 | Weblog
福島でのイベントの後日、日本庭園を訪れ、暫くその空間に立った。大野さんの石膏像が仏像のように佇んでいた。石膏像は太陽の光で自ら発光するかのように眩しい。池には睡蓮の花が咲いて、亀石に松のある島が浮かび、それがすぐに蓬莱山であることがわかった。大野さんのすぐ横にその島が寄り添うようにある。それはまるで、経巻の見返し絵で見たことのある絵のままであった。俄に風が吹き、小雨が通った。現代の中に古典が生きている姿を庭を歩きながらふつふつと感じた。
ありがとうフクシマ!

福島ビエンナーレその1

2012-09-19 20:57:04 | Weblog
福島ビエンナーレに行ってきました。目的は大野慶人さん、舘方比呂一さん、浅井信好さんの舞踊です。日本庭園を移動しながら、自然の中での舞踊でした。それぞれのソロが繋がっていく形式でしたが、ダンサーの個性がとても明確で、暗黒舞踊の系譜の三者でも全く違っていて見応えがありました。舘方さんは女性ファンが遠方から殺到!舞踊もエレガントでセクシー。浅井さんは即興的な舞踊で、これぞ肉体の氾濫かってぐらいの身体の暴れっぷり。大野さんは等身大の石膏像を前に静かな踊りから、最後はぶっ飛んだウサギのダンスという達人の離れ技でぴょんぴょんと会場を去って幕を閉じました。最後は谷川渥さん、渡邉晃一さんを加えたトーク。短い時間でしたが、いろいろな気付きがある内容でした。
今回の鑑賞は次回の個展のための取材と思い来たのですが、どうもこれは見当が外れた気がしました。しかし、それ以上に新たな感覚を開く何かがこの鑑賞体験の中にあると感じました。自然という舞台が、これほどまでにマッチングした舞踊を個人的にははじめて拝見しました。個展のテーマとは別に、この鑑賞体験を僕なりにかたちにして記録したいと思っています。
因みに大野さんのウサギはランボーの詩に出てくるウサギだそうで、その詩に出てくるウサギにいたく感動されたことがきっかけで今回出てきたキャラクターとのこと。ランボーの詩のウサギが依り代となって大野さんのウサギになったそうです。きっかけはわからないもので、僕にとっての今回の作品の依り代は大野一雄さんで、それが僕の寒山拾得や絵画になった。それは大野さんのウサギのようなもので、あくまで自分本意の解釈なのだけど、自分の解釈であらたなものを作り出すって基本であって大事ですよね。