まさか千円で石を買うとは思わなかった。福岡の古道具屋さんで、私は石を買った。正真正銘、ただの石にしか見た目には見えない。でも、私は、この石に魅力を感じ納得して買って帰った。
私は、はじめて行くその店でとても素敵な石の手を見つけた。手触りや大きさも心地よく、おそらくは赤子の手であろう。店主によるとギリシャ時代の大理石の石だそうだ。次に形のよい銅製の水汲みを見つけた。これは漢時代だという。次に弥生時代の朱塗り土器とアフリカの赤土の土器を見た。弥生の壺は柔らかい形と色でなんともやさしい肌をしている。アフリカの壺はマサイ族の肌のように絞まってとても力強い。いろいろと面白いものを見せていただきながら、私は赤く柔らかい石を手にした。これが千円の石である。楕円形の真ん中に丁度親指がフィットする窪みがある。石肌はツルツルまではいかないが2000番のヤスリよりすこしさらっとしていらくらいである。これは縄文の石ですと店主は言う。これが何故縄文時代なのか?さっぱりわからなかったが、この石は石器だったのではないかとふと思った。窪みに親指をあてながら石の肌を眺めているうちに、このフォルムと肌と色が気になってきてついぞ買ってしまった。
つげ義春の無能の人が頭をよぎりながら、やきものを愛でる眼差しで私はその石を愛でていた。
ある店で「私、つい石を買ってしまいました。」と披露すると、「これはいいねぇ!これを見ながら、酒が呑める」と盛り上がった。不思議な世界である。
私は、はじめて行くその店でとても素敵な石の手を見つけた。手触りや大きさも心地よく、おそらくは赤子の手であろう。店主によるとギリシャ時代の大理石の石だそうだ。次に形のよい銅製の水汲みを見つけた。これは漢時代だという。次に弥生時代の朱塗り土器とアフリカの赤土の土器を見た。弥生の壺は柔らかい形と色でなんともやさしい肌をしている。アフリカの壺はマサイ族の肌のように絞まってとても力強い。いろいろと面白いものを見せていただきながら、私は赤く柔らかい石を手にした。これが千円の石である。楕円形の真ん中に丁度親指がフィットする窪みがある。石肌はツルツルまではいかないが2000番のヤスリよりすこしさらっとしていらくらいである。これは縄文の石ですと店主は言う。これが何故縄文時代なのか?さっぱりわからなかったが、この石は石器だったのではないかとふと思った。窪みに親指をあてながら石の肌を眺めているうちに、このフォルムと肌と色が気になってきてついぞ買ってしまった。
つげ義春の無能の人が頭をよぎりながら、やきものを愛でる眼差しで私はその石を愛でていた。
ある店で「私、つい石を買ってしまいました。」と披露すると、「これはいいねぇ!これを見ながら、酒が呑める」と盛り上がった。不思議な世界である。