よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

かみ

2009-11-22 17:33:49 | Weblog
数寄和 大津の「手漉き紙とあそぶ」展に行く。

出品作家の若山卓さんや織田涼子さんからDMが届いていた。
女性作家が大半を締め、他に伴戸玲伊子さん、中原麻貴さん、田中明子さん、高田学さんが出品している。
作品は小品だが、普段の作画を別素材で試みれば、試み故に普段とは別の一面を見せる作品もあった。素材と向き合う上での紙に対する各作家のコメントも資料として置かれており、描かれているものと同じ紙も資料として触れられるようになっている。
ギャラリー側が何故その作家を選んだかというコメントもあると、より興味深いようには思えた。

展示を拝見し、久々に若山さんとも話をする。出品作家には過去に面識のある方もおられた。

予定があり早めの退去をしたが、きっと作家達の深イイ話をしていたのだろうなと後を発つのでした。

p.s.森山知己さんから岡山・天満屋での個展の冊子を送付して戴いた。
会期は11/23(水)~。
吉備の風景と来年の干支の虎を描いた作品展だそうです。
素材や近代日本画技法に並々ならぬ熱意を持たれる森山さんは、お話すると実に多くの蓄積された経験をお聞かせ下さいます。
こちらも小品が多いようです。
宜しければお近くに寄られる方はこちらも是非、御覧下さい。

奈良の「神話」展

2009-11-21 21:19:06 | Weblog
奈良県立美術館では「神話」という展覧会が開催中です。
近代日本画・洋画で神話や歴史画がどのような経緯で描かれ、盛衰していったかという事がテーマとなる。
そうそうたる作家の中、珍しい作品も目にする。
歴史と神話が明確に区別されず、天皇が神であった時代の作品が多数並んでいる。
近代日本と天皇制を考えるとき、実はこの神話と歴史の混濁した環境というのが、なにかを語っているのではないかという気がしないでもない。

金・土曜日は21時まで開館しているので、是非観られればと思う。

興味深い作品がいろいろあったが、寺崎広業の超大作、「大仏開眼」(東大寺蔵)はあまり見れないので見る価値アリかな。

レヴュー mirror image

2009-11-21 12:58:14 | Weblog
webで各地の展覧会情報やレヴューを掲載しているカロンズネット。
現代美術ウェブマガジンとして逐次ギャラリー等の展覧会情報を確認できる。
行きたかったが行けなかった展覧会、見たかったなぁと思わせる展覧会が若手の書き手の丁寧なレビューで読むことができる。

先月の名古屋のmirror image展も小金沢智さんがレヴューを書いて下さり、カロンズネットにて拝読出来る。
展示の状況などが小金沢さんの言葉でわかり易く解説され、また一方でこの展覧会の持つ内容の様々なレイヤーに少し戸惑うような感覚が素直に書き出されている。

レビューという内容としても、展覧会の持つ内容に少し踏み入れた点についても楽しく読ませていただいた。みなさんにもご一読いただければ嬉しく思います。

http://www.kalons.net/j/review/articles_1630.html

後日、東京・新橋で小金沢さんと久々に再会。
現代美術のレビューを中心に文章を書く彼だが、日本美術史出自だからこそ感じる繊細なものやアンテナがあるのかなと、話していて感じた。
「僕にとってはとても意地悪な展覧会でした。(苦笑)」と言われつつも、言葉をツールにする人達にとっても、もっといろんな言葉が引き出されるようなものを作り出したいと、少年心を燻られるのでした。

みること、みられること。つたえること、つたわること。
どちらも誤読あり、ズレもあり。正確であるのは、それぞれのその時々の感覚と、固体存在だろうか。

心がふれあう喜びを感じつつ、そしてまた、自分を信じて絵を描こう。

東京、鎌倉

2009-11-18 20:33:22 | Weblog
東京滞在の合間に展覧会をいくつかまわる。

芸大美術館の異界の風景、東博の皇室の名宝、高橋コレクション、青木克世展、土屋仁応展、神奈川近美の内藤礼展、山種の速水御舟展。
やはり印象的だったのは神奈川近美の内藤礼展、山種の速水御舟展。

御舟の作品は、小品に特に材料の使い方や技法に学ぶものが多く、水墨の花や桜、梅の彩色も客観的ながら情感的で良い。途中、道を聞かれて外国人の一行に山種の場所を案内したが、その中の中国人で、近代の日本美術に興味があり勉強している人と展覧会をみる事になった。英語と日本語で作品や技法について話すのだが、なかなか難しい。大体伝わっていたように思うが、こうして違う国の人達に日本画や文化について話をする、伝えるというのはなんだか楽しくもあった。

内藤礼展は記憶に残るものだった。
まだ解きかけのパズルのように姿を完全には把握しきれていないのだが、この出来事はながらく僕を深いどこかへ連れていくような気がする。
この感覚をもう少し自分の中で沈思したい。 

トーク トーク

2009-11-12 22:58:35 | Weblog
京都高島屋で三瀬さんの展覧会「笑月」があった。
「トークショーやります!夜飲みましょう!」というDMに誘われて見に行く。
言葉は日常的に使うものであるけど、いざ何をどう伝えるかというのは案外難しいもの。
場の雰囲気もそうだし、内容だっていろいろな話し方がある。
 だからジャンルを問わず、何をどう話しているかというのはなかなか興味深いものである。

会場には作家仲間や教え子も来ていたようだ。
僕も久々に逢えた人達がいて良かった。

飲み会までは時間があるので、祇園のギャラリーiのジパン具展へ。
及川聡子さんの作品を観てみたくて行く。
課題作品として各作家がい描いた平箔地の紙という基底材もなかなか興味深かった。どうやら印刷金地らしく箔あしがない。ただ、非常に描き難いという話だが、及川さんは卒なく使っていたと思う。
お腹が減ったのでその後一緒にいた3人で食事。絵や仕事の話をする。

夜になり待ち合わせのニュートロンに行く。笹倉洋平さんの展覧会だった。ライブペインティングをよくしている作家で、線の作品を何度かみている。

飲み会の場所はいつもの和民に落ち着いた。
懐かしい空気と静かに熱い空気が入り交じった夜だった。

席画7

2009-11-07 09:11:14 | Weblog
シルバさんは来年日本を発ちます。
日本に来て、初めて美術に触れたという。
そういう環境がなかったのだという。
母国の自分のまわりの人達に、絵を見せたら一体どんな風に感じるのだろうと心が躍るらしい。

絵巻は彼の母国への手土産にと差し上げた。
今日のこの記憶は、この絵巻によって彼の言葉と共に彼の地へ持ち帰られるのだろう。

なんだか、とても素敵なことですね。

みなさん、どうもありがとう!



【画像提供:数寄和 大津 あ さん】

席画6

2009-11-07 08:52:27 | Weblog
楓の行く先は大きな波となった。
そしてその大きな波から黒い山が現れたかと思うと、大きく天に向かって潮を吹いた。
そう、現れたのは巨大な鯨だ!
波は雲海となり、山となり、天と地と海が渾然一体となり、もうここが何処かわからなくなってしまった・・・。

そうか、あの霧はこの鯨が生み出したもので、雨も水の流れもこうして循環しているのだ・・・。

そうして、再びゆっくりと絵巻を巻き戻し(サイクル)ていく。
巻頭まで巻き戻る時、再びシルバさんのあのフランス詩が響いてくる。

そして、静かに物語は閉じられる。
僕たちに至福の余韻を残して・・・。

席画5

2009-11-07 08:46:01 | Weblog
階段と建物が見える。
山中深く入り、トンネルを抜けて、その向こうにある世界。
ここはもしかして、桃源郷ではないだろうか!

落葉流水する楓は静かに、さらに流れていく。
一体何処へ向かうのか・・・。

席画4

2009-11-07 08:37:39 | Weblog
穴の向かう側にはまた景色がみえる。
山が少し深くなったのだろう。
紅葉し、落葉流水する楓を目にする。

橋の上を傘をさして歩いている人がみえる。
雨だろうか、景色が霧で朦朧としてくる。

おや、彼方に建物らしき姿が・・・。

席画3

2009-11-07 08:29:43 | Weblog
ふと見ると岩の上で猿が柿を手にしている。
初秋の山を眺めながら、秋の実りを独り占めしているのだ。

山の中、ぽっかりと空いた穴へと続く道に、4人の人影が歩いていくのがみえる。どうやら穴の向こうに何かあるらしい。