石を買ったあの日以降、私は石を見るようになった。川や道端、線路の石など、とにかく石に目が行くようになった。きれいな石はそれなりの値段がして、そう思うと自分が面白いと思った石を千円で買えたのは拾い物である。八戸の海岸にはきれいな石が取れるところがあるようだが、こんなところへ行くと1日石拾いしてしまうだろう。時々、何でこんなところにこんな石が?この石はどこから来たのだろう?と不思議な気持ちになる。でも案外いいなと思う石って見つからないものです。少年の頃、公園や河原でよく丸くて平たい石を拾って投げて遊んだりした。その時は投げやすいとかよく飛びそうという明確な選ぶ基準があった。今、石を選ぶ基準はふわっとしていて曖昧である。ただ出会いの感覚。そんなことが実はとても大事じゃないかと思っている。