よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

板絵完成

2017-02-22 07:33:09 | Weblog
大覚寺蓮華殿の天井画プロジェクトの担当分の板絵が完成したので、芸大に配送。蓮華殿には3月に設置し、4月にお披露目予定だそうです。下絵と少し変更箇所もありましたが、久々に花の絵が完成してほっとひと息です。1枚しか描かないとなると難しい。構図的にはどこか王道になってしまいましたが、秘かにいろいろとスパイス入れて少し自分らしさも出たかな?数点だとバリエーションとか遊びを入れて描きたくなるけど1点だと普段描かないモチーフはちょっと冒険心低めになってしまったなぁという反省も...。一目見て商標となるくらいに自分の花の絵をジャコメッティの云うところの「様式化」するぐらいまで描いていれば出来たか?あるいは見えない未完成作品と思われながらも薄ーいもうりょう画をトライするか?花曼荼羅というテーマだし、荘厳だから、やはりもうりょう画だとなぁ...と悩みました。でも、もうりょう画に囲まれた空間て、ちょっと体験したいかも?ちょっとあたためるか...。課題に気付かされました。
ひとまず手を離れるのであとは天井に設置されるのを寝て待てです。楽しみにしてます。

openMUJIイベント

2017-02-13 19:27:31 | Weblog
グランフロント大阪の無印良品にあるopenMUJIスペースでのイベントで登壇しました。「表現者からみる能」というテーマで能面打ちの藤原さん、俳優で神楽舞手の高安さん、私の3人でクロストーク。前日の京都大学の講演ほどではありませんが立ち見の出る盛況で、お越しくださった皆様ありがとうございました。

内容は、各自己紹介から藤原さんの新作能オセロでの能面制作の話からはじまりました。型紙や実際につくられた面など普段見られないものや話がいろいろと聞けてとても興味深い。私は「松風」の作品への質問をうけ、自作の解説をさせていただき、能との接点や表現上の共通性のような話をさせていただきました。あっという間の1.5時間で、高安さんの舞の話に触れられなかったのが残念でしたが、あとで個人的に神楽の空間と身体感覚に質問したりしました。「松風」は薄墨の絵で余白が殆どなので、本物を観る以外に全然見ることができない(笑)でも、あんな真っ白なよく見えないスライドでも本物を是非観たいという方が結構いるので面白いものだなと思います。「松風」は今年も個展しますのでまた皆さんにお目にかかれると幸いです。

それにしても学生時代から知ってる、しゃべらない藤原さんと無印良品でクロストークするなんて、世の中は何が起こるかわかりません。藤原さん、高安さん、楽しかったです。ありがとうございました。

板絵制作中2

2017-02-06 18:33:22 | Weblog
下絵がほぼ終了。ここから板に転写して、墨で「骨描き」です。「骨描き」とは線描の事なのですが、東洋絵画の画論では線を重視するので線描の事を「骨法用筆」と言います。今回は墨に少し代赭色を混ぜて描きました。これは美人画の技法書にある方法で、肉身の部分の線が柔らかく、また淡い色を重ねる際にも邪魔にならないようにするための工夫のようです。ちょっとした工夫も先人の経験からくる知恵ですね。

板絵制作中

2017-02-06 09:45:45 | Weblog
母校の京都嵯峨芸術大学の天井画のプロジェクトで、板絵を1枚奉納することとなり、現在制作中です。100名ほどの作家の日本画の花の絵が集まり、花曼荼羅となるようです。2月末日までに収めるのですが、近日ようやく彩色に入りました。昨年末は個展などあり、なかなか着手出来なかったのですが、まぁ間に合いそうです。油断禁物ですけど...。私はいくつかの花のプランを挙げましたが、近江妙蓮という少し変わった蓮の花を描くことになりました。近江妙蓮は私が滋賀に在住していた頃に何年か足繁くスケッチに通った蓮の花です。日本では古代蓮の開花に成功させた大賀博士ゆかりの金沢、鎌倉と滋賀の守山の3箇所でしか見ることが出来ません。特徴的なのが、はちすが無くて種が出来ないため、蓮根で育つこと。守山では田中家が代々蓮根の手入れをして守り伝えてきました。一度絶えてしまったのですが、金沢から株分けして貰い現在も見ることが出来ます。また、開花するときにひとつの蕾から花が1~8に分かれて咲くという不思議な花。そして中は全て花びらです。花びらが薄いため雨に弱く、咲きながら朽ちていき最後はドライフラワーのようになります。香が強くて、芯に近い花びらほど強いピンク色となります。今回は地塗り無しなので板目を活かす形となります。水生植物だから流水の模様に見立てつつ描こうかなということで進めてます。画像は最初期の下絵。