よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

東京行き

2008-02-23 20:35:11 | Weblog
今日は一日東京でした。
東博で宮廷のみやびをみて、ついでに東京芸大の卒展があったのでぶらりと立ち寄りました。
その後、成山画廊をちらっと立ち寄り、佐藤美術館の諏訪敦展を観る。この時やたらと風が吹き荒れて電車が一部止まって東北新幹線は休止しちゃってました。前も止まってたよ、東北さん。
さておき東京ミッドタウンの21_21に行き、あわや森美術館も行こうと思ったのですが、A.トマツセリの作品を観たかったのに1点しかないうえに小さなドローイングと知って観る気が失せたので、SHOPだけで帰っちゃいました。でも、東京駅のグランスタで駅弁買えたのはちょっと満足!
相変わらずの駆け足ですが、今回は初めて行ったところが多かったな。

OH!MY ブッダ

2008-02-23 08:53:51 | Weblog
前回の制作後、ドローイングをまたコツコツ描いていると自然にまたいくつかの佛画が現れてきた。今はその大下図を描いている。ここ数日は依頼画でお雛様を描いていたが、めどがつき再び手を入れ始めた。
佛教美術は経典により造像されるのを主とするが、個人的なことが契機で作り出されたものも実はかなりある。私が描いているものも、パーソナルな面が造像の中核にあって、自分が日々感じている事や感覚的要求が図像を少しずつ変化させている。佛像は既に形が継承的に決まっていて確立しているが、それゆえにパーソナルなものが入り込まなければただの型でしかなくなる事も多いのかもしれない。大下図を描いている時は思考がかたちになっていくダイナミズムがあってなんかちょっとスリルがある。彩色にはいるとそれは型になり、最も繊細なニュアンスはこの色香に託される。
うっとりとして目がはなせないようなものは、なんだかそのなんとも言えない色香に惑わされているようでゾクッと身の毛がよだつ。
私が最初に描いた佛画はおそらく園城寺の黄不動の掛軸で模本だったと思う。小学校3、4年の頃は父に連れられ関西の寺巡りをさせられていた。あまりに多く廻るので飽きてくるのだが、父がその寺を味わっている間、私は暇で仕方がない。それで落書きやスケッチをして時間を潰すのだが、なかなか佛像は装飾だらけで小学生には複雑すぎた。で、大津絵の弁慶とかは真似して描いたりした事もあるのだが、黄不動は描いてみようとおもった。装飾品もシンプルで他の佛像に比べて明快なのも要因だが、最もその時の私の絵心をくすぐったのはあのくるくるパーマだ。おそらく、大阪のオバチャンバーマとおかんの当時の髪型が私の心をわしづかみにしたのだろう。暗い座敷に掛けられたその軸を前に、ひとりでくるくるくるくる描いていたようにおもう。あの図像は顔も目も頭も丸い。わかりやすく円が多重に積み重なっている。孔雀明王の羽根もなかなか見事に丸いのだか、当時にグッドデザイン賞があったら受賞して差し上げたい。
でも、黄不動に感じたのは色香じゃなくて、笑いなんだけどね。笑いに反応してスケッチブックをひらくなんて、なんとも大阪人なヤツ。
ひそかに「怒りのおかん」とでも名付けていたに違いない。リアリティ入っていたんだろうな…
実家のタオル掛けは丈夫に花の形をかたどった円形のフレームがあり、そこに幼稚園時の私が描いたおかんの顔が納められている。例のくるくるバーマにシンプルなミニマルな目鼻に赤い▽の口が微笑んでいる。花のフレームはいつしか図光に見えて、最近富に後光が増している。同時期に描いた父の顔は現場作業員特有の焼けた肌に額にある白毫のようなイボが忠実に描かれ、佛頭のように当時から見えていた。あの白毫には小さい頃よく仏さんみたいやな~ゆうてぷにぷに触ってました。これもまた不思議なご縁でございます。

滋賀はまだまだ寒いです。

2008-02-20 22:54:26 | Weblog
今年は去年に増して雪がよく積もり、長靴が大活躍です。雪だるまもよく見かけます。
先日、神戸に浮世絵の展覧会を見に行きました。前回に同館であった「江戸の誘惑」展が肉筆オンパレードであまりに豪華だったので版画中心の今回は少し小振りな印象を受けましたが、団扇絵版画や版下絵の特集、同館所蔵の軸装仕立の浮世絵・版画等別アングルからみた江戸の浮世絵版画の魅力が味わえるものでした。
そこで前回特別展の「西洋の青」という図録を買い求めたのですが、なかなか面白い。日本におけるプルシャンブルーの受容というテーマでそれまでの日本の青と輸入資料、文献、実例作品、科学的分析を挙げて比較している。
あと、昭和の「日本画講義」シリーズの合本をまた買っちゃいました。
前回同様に執筆陣は豪華ですが、出版社が違い内容が違うのに加えて木版刷りの手本付きで、ちょっと楽しい。初歩初歩の段階から話しが始まりかなり細かな手ほどきがあるものから概論的なものまでいろいろです。
今回は合本でしたので全ての刊が揃っていませんが、価格と内容からみてお得な買物でした。
内容は

結城素明 画法一般
鏑木清方 美人画講話
川端龍子 写生講話
石井柏亭 漢画論新釈
松岡映丘 色彩に関する講話
川合玉堂 墨画の研究
安田靭彦 古画の研究に就いて
小泉勝や 装画要録
杉浦非水 図案講義

他には小杉未醒の雑画要録、荒木十ぽの花鳥画や吉川霊華の線描についてのものがあるようですが、この他にもいろいろシリーズがあって本ではなくて手本付きのもっと大きなサイズのものあるようです。