よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

秋にて

2010-11-15 07:43:22 | Weblog
滋賀に久々に帰った休日。家の周りの木々はすっかり紅葉している。ベランダからみえる紅葉は予想外に美しく彩られ、案外気にいっている。銀杏並木の下でおばあさんがギンナン拾いをしているのも馴染みの景色となった。
京都に上村松園の展覧会を観に行く。会場の入口に「序の舞」が立っていた。
思っていたより大きな作品で、離れて観る必要がある。細部や色彩の美しさは近付いて確認できるが、この緊張感のある佇まいと絵からこちらの世界も巻き込まれる気配を感じるには、眺める距離を持たねばならなかった。
展覧会は松園初期から晩年まで。代表作が見られあらためて松園という作家を確認出来る内容。
大作、小品も安定したクオリティだが、その中でも名作とされる作品は何が違うのかと思いながら会場を歩く。また、欲しいと思う絵も捜してみた。
あらためて観て、「序の舞」は松園作品の中でやはり傑作でした。でも、僕が欲しい作品は程よい掛軸の「待月」または「鼓の音」でした。作品のスケールが観る為の空間にも余白を要する作品だからという理由が大きな理由です。
「待月」または「鼓の音」は客人をもてなす場にあると粋な感じがします。縁側に坐る美人の爽やかな色香はちょっと酒が呑めそうじゃないですか。また、鼓を持った芸妓の姿も脇にあるとなんだかそれだけで宴会を風流に盛り上げてくれそうです。(オジサン発言やな・・・)
常設には美人画と女流画家の作品を関連展示。
僕の好きな初期の甲斐庄楠音が展示され、他にも岡本神草や契月など佳品が並んでいました。
帰りに久々に好日居というカフェで一息。ここは陰影礼讚が味わえる市中の隠れ家のような場所です。店主含めてあまり変わらぬ様子で良かったです。
暫くして鉄齋堂の書画まつりに行き、掛軸などを観る。絹や紙にどのようにして描いているか、間近で観られるので時折勉強させていただいています。
鴨川沿いに上がると紅葉並木が目に鮮やかでした。

美の秋

2010-11-07 21:08:56 | Weblog
今年の関西の秋は興味深い展覧会が目白押しです。
滋賀では白洲正子関連の神仏、滋賀の名宝では秘仏の黄不動はじめかなりの優品が並ぶ知られざる濃い展覧会があり、奈良では正倉院、花鳥画展、京都は高僧と袈裟、京都日本画の誕生という展覧会があります。
既に終了したものもありますが、いずれも名品が並んでいます。
白洲さんの展覧会は神仏像がメインですが、日本的なるもの、神そして美についてなにかを感じる内容であったと思います。
奈良の花鳥画展は古代から近代に至る日本に於ける花鳥画の流れが展望出来ますが、限られた展示の中で有名から穴場の名品までニクイ選択で出品されています。
中国、韓国の花鳥画もかなり展示されていましたが、そう元画や初期花鳥画など興味深く拝見しました。特に今回あらためて見直せたのは雪舟の四季花鳥図屏風です。この作品は花や鳥の描写というより、空間と線描に一目みるべきところがあります。この線描と空間こそが、雪舟たる由縁なのだと感じ入りました。
他に宗達の黒犬も相変わらず良かったです。
高僧と袈裟は染織の美。解説や説明も親切かつマニアックでした。日本絵画の表具には袈裟や着物が使われてきた歴史がありますが、そうしたものに興味がある方は是非見ておくべき内容です。
京都日本画の誕生は近代日本画の名品が並ぶだけでなく、その半分以上がガラスケース無しで鑑賞出来ました。好きな作品もいくつかあったので観にいきましたが、やはり東京と比べると京都画(壇)という言葉が出る程に違うものがあるように感じました。互いに交流もあった中でこうも違ってくるのは環境や風土に外ならないと感じます。それは現代の美術に於いても同じ事で、何処で生活し、何を見て生きているのかという事が反映しているのです。
美と出会う、美を探求する心や生活、環境はありがたい事だなと感じました。

久々の東京でした

2010-11-07 20:09:49 | Weblog
東京で一週間仕事をした最終日。
案内をいただいていた三瀬さんの展覧会に行く事が出来た。ちょうどその日は以前に僕もレビューを書いていただいた小金沢さんとの対談があった。
三瀬さんは同時に東京の数箇所で展覧会がはじまり、いつもながら勢力的です。
神楽坂にきたのは初めてでしたので、ちょっと新鮮でした。
スーツで西荻窪や新橋の高架下の飲み屋に自分が行くとは想像もしていなかったので、なんだか束の間ですが東京のサラリーマン気分を味わいました。
東京デザイナーズウィークに行けなかったのは残念ですが、久々の東京はなんだか懐かしい気分でした。