よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

奈良から奈良町

2009-05-28 07:56:11 | Weblog
 鑑真和上展に行く。お目当ては木彫彫刻群と東征絵伝。常設の仏像群も見応えがある。
仏像群は羅列展示ではなく、空間を作り出そうという配置で、その一画はライティングを含めてインスタレーションしているような雰囲気があった。勿論、そうした展示が過去になかった訳ではないが、自然に空間としての磁場が発生しているかのように入ってきた。

奈良博を後にして奈良町にあるMinpi(ミンピ)というならまち工房の中にある店に行く。オーナーとは網干のoeufs(ウッフ)(友人のお菓子とギフト雑貨の店)に友人達と遊びに行った際に知り合い、奈良に行く際には立ち寄ろうと思っていた。僕はあまり奈良町を歩いた回数は少ないのだが、実は数年前に一度訪れた事をふと思い出した。レジ横には猫写真があり、聞けば飼われているそうだが、店のマークが鳥なのは、ながらく鳥を飼っていた事によるらしい。奈良町には少し裏に行けば猫によく会う。慣れているのか、手の届く範囲にいても、何を気にする事なく淡々と猫している。奈良町から三条通りに抜けるまで裏道とお店を案内されて、晩御飯を食べながらお店や旅の話などをする。
 ミンピさんの案内のおかげで、奈良の楽しみ方が少し増えました。

モノクロム東京

2009-05-16 23:23:28 | Weblog
東京へ日帰り。
今日はまず、練馬区美術館の現代の水墨画から。
続いて出光美術館の水墨画名品展~雪舟、等伯、鉄斎まで~ついでにここの陶片コレクションもみる。実は案外楽しみ。
現代美術館の池田亮二展、常設(主に新収蔵)。
数寄和にて打ち合わせ後、ろざん(うつわ屋)へ。ここの店主オオシマさんはなかなか熱い!無口かと思えば話に火を点けたのか、すごい面白いけど夜が明ける勢いで話が停まらない。残念ながら滋賀に帰る身の僕はバッサリ話を切って品川へ直行。作家の佐藤君と待ち合わせて話をつけてとりあえず任務終了。終電で滋賀へ。
今日はなんだか新旧あわせて色のないストイックな世界で、不思議と統一感のある妙な一日だった。いや、唯一、現代美術館の常設のみがカラフルだったか・・・。

開眼法要

2009-05-11 21:40:19 | Weblog
湖東三山の金剛輪寺で八十一尊曼陀羅の開眼法要が行われた。原本は根津美術館所蔵の重文で、状態も良く、彩色や描写に少しエキゾチックな雰囲気がある。元は金剛輪寺に伝来したものであり、今回は様々な専門家の協力を得て、原寸大の高精彩画像、絹・顔料の復原、図像の見直しが行われ、あさば仏教美術工房が復原模写にあたった。復原された曼陀羅は模写である事に意義があるという。それは、制作意図や造像精神を追体験を経て伝承する(写しとる)事であり、金剛輪寺においてはただ新しい曼陀羅を造る事とは違い、時を経て新たな形の里帰りを果たしたと言えるのだろう。
思えば、仏教美術には写しが多い。ここにいう写しは単なる複製ではなく、功徳や精神を伝承する(うつす・拝領する)という行為である。

法要は11時より始まり1時間を超えるもので立ち見になる程の信徒が詰めかけた。法要は天台宗座主が執り行う大規模なものであった。幸いにも僕の立ち見の場所からは座主の印を結ぶ手の始終が全て見え、その空間はなんとも言えない様であった。その間、僕は自然と手が合掌し、その手が離れなかった。熱気の只中でありながらも、おだやかに、なにかそうしてしまう空間があった。
 

神戸遊歩

2009-05-10 00:38:48 | Weblog
神戸市立博物館は古地図の三大コレクターの寄贈でコレクションが豊富なのだが、南蛮美術、初期日本銅版画の三つのコレクション展が開催中。古地図からは、その時代の人々が、世界や宇宙をどう把握していたかという事がわかり、興味深い。整合性など無視された世界地図は多く、判断基準で世界は如何様にも変化している。世界は広く、未審地という大陸が地図に見られる。世界をいくら正確に測量出来ても、GoogleEarthでひとっとびしても、どこでもドアがあったとしても、未審地は存在するだろうなと感じます。世界認識、社会認識が交差して、世界を走り廻って、あらゆる事を試してみても、世界は拡がるばかり。無理矢理だけど世界を掴んでいるこの地図達はなんだかとても面白い。
 三宮から海岸通りを歩くと昭和のビル群の中にお店が並んでいる。散歩がてらに歩いていると、古道具MARUNIというお店があった。黒い床と白い壁、嚆矢窓から光がはいる。木、ブリキ、ホーロー、鉄。京都や大阪とはまた違うセレクトセンス。東京に長く住んでいたが、こちらのビルに6年間目を付けて、2年前に店をOpenしたそうだ。as it isの企画展覧会もしている。
元町にもこんな店があるのだなと楽しい発見でした。
神戸は大震災で古いものはかなり失くなったという。別の店では戦後生まれの父の世代のプラスチック製品が店に並んでいて、実家で現役で使っているものもいくつかみかけた。その街に集まるものはその街の人達の空気を自然と吸い込んでいるのだろうか。
 滋賀に住んで5年になるけど、滋賀には滋賀の何かがあるんだろう。土地に対する依存性が薄い僕でも、多少は滋賀なんだろうなぁ。

Live あおによし

2009-05-07 18:33:19 | Weblog
奈良のやまと郡山城ホールで、「あおによし」というコンサートがあった。詩人の亜子米と和太鼓の神奈川馬匠、ポコポコ演奏のうてなたけしさんのコラボレーション。
字で見る詩と詩の朗読とギタレレの弾き語りは、みな違っているのだとあらためて感じた。字は、その意味を行きつ戻りつ確かめられるのだが、後者は時間軸で流れていく。発せられた言葉の強さ、間で伝わり方は違うし、詩そのものの理解とは別の内容が発生している。
弾き語りは旋律が生まれるから、言葉がさらに伸縮して発せられる。言葉を発する、意味を伝えるとは別の意図から事が生まれる。
字及び書面の詩は絵画に近く、観者に観ることを強いる。何度も観て、真に触れる。
後者はLiveで体感する空間そのもの。
同じ作品であっても、みせかたを変えると、そこに生まれるものは違ってくるという事を端的に感じる。

神奈川さんの太鼓の打つ、響くという音の振動は単純に血が騒ぐ。うなてさんの笛も加わると祭の様相。音を捧げるというか、加持祈祷のような風景が浮かんできた。太鼓のリズムって昂揚感を上げるなー。こういうグルーヴ感ってLiveの良さですね。
 Liveには、行為そのものが放つ空間的エネルギーみたいなものがある。詩と朗読と弾き語りは、同じ地平から発しても、それぞれ別の表現なのだ。ペインティングとLiveペインティングもまた、しかりだなぁ。

福岡行き2日目

2009-05-06 09:14:41 | Weblog
さて、一泊予定なので帰宅日。前日の小石原がかなり重い。やっぱキャリーケース欲しいよな~と思うのですが、無い私としては倉敷帆布と風呂敷がこんな時には大活躍。帆布といえば、一澤帆布や信三郎帆布が有名ですが、個人的には倉敷帆布が僕は好きです。で、風呂敷は京都掛札といきたいところですが、お気に入りはみんぱくで買ったShilleのかなり大判のものと、夢二デザインの90X90のものが二つあります。最近、これにハンチングを被ると「昭和初期か!」というツッコミをされるのですが、別に悪い意味じゃないから勝手に良いと思って楽しんでいる。でも、まる洗い出来る帽子と丈夫な帆布や風呂敷は使う程に便利さを再認識するので、欠かせないお共である。
開館前に少し商店街で朝御飯を食べていると八女茶の店が目に入った。ちょうど新茶の季節だし、軽いしちょうどいい。

そして、目の前の福岡アジア美術館へ。
白洲正子はともかく、次郎のものが多く出る展覧会は稀な気がする。自作の机も出ていたのだが、てっきり杉かなにかと思っていたらベニヤ合板の2cm厚ぐらいのものに釘打ち。日曜大工もいいとこだが、安定感もあるし、なんかカッコイイ。あとはトランクやジャケットの裏地とか、洒落っ気がみえるのがいい。正子さんのものも久々に実物を見るとなかなか面白い。記憶していても、あらためてちゃんと観るとまた発見がある。
 じっくり見ていると2時間が経ち、九博へ。チベット展は期待を裏切らない内容で大満足。常設の考古は充実していて、装飾古墳のデジタル復原映像もなかなか面白かった。近くの美味しいラーメンにリベンジし、焼きたての梅が枝餅を食べたら、博多から新幹線へ直行。GWにも関わらず、難無く座れてスッキリの福岡一泊でした。

福岡行き初日

2009-05-05 21:02:22 | Weblog
夜行バスで博多に着くと7時過ぎで、朝定食をターミナルで食べながら、しばし小石原行きのバスを待って広告批評の最終刊を読む。九州はGWにイベントが重なっている。博多どんたく、有田陶器市、小石原みんとう村まつり。小石原は小鹿田のルーツになるやきもので非常に共通するところが多い。にも関わらず、小鹿田に比べて小石原はあまり京都や大阪のSHOPでも見ない。という訳で九博のチベット展(大阪歴博にも巡回するらしい。)と神戸で見損ねた「韋駄天夫人とオイリーボーイ」(白洲夫妻)の展覧会などと重ねて一泊弾丸トラベラーするか~、とやって来ました。
初日はとりあえず小石原。9:01の博多からバスで到着は少し遅れて11:40。中央展示場や道の駅、目についた窯を転々と歩く。しかも今日はあいにくの雨で、うっかり折りたたみ傘を忘れていた。GWは晴れているという噂に確認しなかったからだな。
窯を廻るのは信楽、唐津、備前、尾張瀬戸、小石原と4ヶ所目になるが、信楽は子供の頃以来で覚えがなく、唐津、備前は1時間足らずでついて廻った程度。尾張瀬戸は赤津等の窯巡りまでは至らなかった。なので今回は3時間あるのでちょっと楽しめる。その地に赴くとやはりその地の伝統に根差した新感覚の作品に出会える。小石原は飛び鉋、刷毛打ち等小鹿田と共通技法が特色で一見比較は難しい。小鹿田は皿山10軒というルールがあるというが、小石原は特にそういった事は聞かない。
いつもは飯碗を買う事が多いのだが、皿等を5客買いでいくつか買った。あぁ、大人買いしている・・・。でも、ここでシブチンになっても仕方ない。なかなかモダンな小石原が見れたのも良かった。バスは長いので、そば饅頭をおばちゃんから買い、バスの中でお茶とひとくち。昼ご飯ナシだったので、素朴な饅頭の味が格別に美味い!
いやー、一仕事終えたあとの食べ物は美味しい!
 博多はちょうど博多どんたくの日だが、雨が止む気配はない。地元の人にとっては博多どんたく=雨らしい。
宿から元祖長浜ラーメンまで歩いていったが、近いと聞きつつ歩いて1時間かかった。まぁ、呑んで話しながら歩いた距離感と雨の中、シラフでお腹の空いた状態の距離感では比較になりようがない。
確かに長蛇の列だが、シンプルで飽きない分、僕的には物足りない。
しかし、替え玉も食べたので帰りも歩いてみたが、やはり1時間かかった。ちょうどいい運動になったし、結果オーライの一日でした。