よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

東京→鎌倉

2008-10-29 21:37:26 | Weblog
東京に連泊し、大りんぱ展、丸山直文展、目黒雅叙園、NADIFF、アネット・メサジェ展、岡村桂三郎展、鏑木清方記念館、鎌倉大仏を観る。当初はもう少し廻る予定だったが、本屋と鎌倉の骨董屋で長居してしまって廻れなかったというオチがある。
りんぱ展はあらためて宗達の良さを感じる事が出来る。やはり別格だと思っている。
丸山直文展は目黒であったが、ここは色や画材、ワークショップの展覧会など企画に独自性があり気になっていた。小さな美術館だが、面白い所だと思います。ちょうど雅叙園も近いので百段階段を観ようと行けば、仮や崎省吾の展覧会が行われていて、サイン会までやっている。雅叙園のしつらえの豪華さに対して花も一級品の花材がふんだんに使われていた。京都や奈良等に頻繁に行くせいか東京は寺もそうだが、古いものに古格がなくキッチュにみえる。
古いと言っても大概江戸だが、関西だと天平や平安になる。考えてみると面白い事だが、江戸時代においても浮世絵系を除けば代表する作家達は皆、京都である。
NADIFFは西尾康之さんの画集刊行記念の展覧会。NADIFFでは新進作家の自家製版のチープなドローイングブックが置かれていてちょっと面白かった。
アネット・メサジェ展はハロウィンにハマリの展覧会で楽しかった。
夜は新宿でムサビの作家達とメキシコワインで一杯。住む環境や経緯が違うから話をしていて面白い。因みに彼らから言わせれば、僕は日本画家ではなく日本画以前画家であり、日本画とは別ジャンルらしい。話す度にそう思うらしく、言われなおしてみると面白い見解だ。

次の日は鎌倉に行く。岡村桂三郎展は鶴岡八幡宮横の神奈川県立近代美術館である。巨大な屏風というよりも屈折する板壁が回廊を作っている。巨大過ぎる作品はもはや全体を観る事が困難で、観るというよりも、眺めながら歩く。この作品が持つ闇が以前から気になっていたので見れてよかった。
鎌倉の大仏もやはり観なければなるまい。胎内にも入り見上げる。衝撃的な事に背後に二つ窓が開いている。なんか後引きますね。

いろ、いろいろ。

2008-10-19 21:06:17 | Weblog
制作中の作品のトレースを終えて、骨描きする前に再度彩色設計をする。今回は、るしゃな仏をベースに図像を創りだし、それゆえに光、色についても再考しようという思いがある。イメージに近づくため、大下絵に彩色し、ドローイングする。図像が明確なので纏めるのは用意だが、規則的かつ纏まらないような色彩のプリズムのようなものが立ち現れないかと考えている。
数寄和の麻田さんのお誘いで夕方に展覧会中の三輪真さんのオープニングに立ち寄る。作品がたまたま色彩をメインにしたものだったので、ふと作品達の色彩の着地点について考える。
作品を見終えて宴の場に行くと既にほろ酔いでいい感じでやっている。マツタケさんや美大の学生さんも少し混じっている。三輪さんははじめてお会いしたが、チョイ悪オヤジな風貌で既にチャーミングな酔っ払いと化していた。ここは作家と作家とは別の立場で表現に関わる人達がちょこちょここうして集まったりするサロンみたいになっている。数寄和さんの話は興味深く、面白い。作家とは別の立場で日本文化や日本画に強い危機意識を持っている。稀有な場所だと思う。
お酒がそこそこまわっていたので読書しながら就寝する。

朝から彩色について再考する。リヒターやニューマン、アウトサイダーアートにおける彩色や日光東照宮やロシアイコンなど様々にノートに書き綴る。思考の整理はノートに限る。これもドローイングだと思っている。

気分転換に京都に出る。二条あたりの骨董や民族雑貨をブラブラする。ギャルリー宮脇があり、ここは近年アウトサイダーアートを展示しているのでそれも目的だ。日常使いのものをちょこちょこ買う。絵は民画であり、質感はマチエールであり、量感やかたちは立体である。手に触りなじみ具合をボディコンタクトしてるという感触が実に楽しい。ものとコミュニケーションするという事。今日は大正ガラスの蓋付きの椀があってとても心惹かれた。小ぶりだがシンプルで厚みも量感もいい。伊万里のぐい呑みより少し高いぐらいの値段だが、2つしかない。折角なら2つ欲しい。よいのはわかっているが、ひとつだとなんか半端な感じがして仕方ない。きっとすぐに買われて行くなと思いつつ、1つより誰かに2つ買われた方が良いねと思い、さようなら。
あの感じは今作っても出ないと思うけど誰かに発注しよかな~。

ガラスはどうもシンプルなものが好きなのだと知りました。自分発見!


追伸、数寄和 大津での三輪真さんの個展開催中です。詳しくは数寄和 大津のHPへ。

遊覧

2008-10-15 08:29:38 | Weblog
北山の高麗美術館で韓国のポジャギとチョガッポの展覧会があった。素朴な質感と色彩の布達と展示にポジャギの制作ビデオもあってアットホームで適度にゆっくりと時間が流れる。小さな美術館だが、僕は割と好きです。
イムラアートギャラリーで後輩の渡邊佳織さんの個展があり、少し立ち寄る。少女と折り紙をモチーフにした独特の少女世界と模写で学んだ古典技法の融合が渡邊さんの魅力。作品の世界感は在学中から一貫しているが、模写を経て確実に技術が上がっている。本人のキャラクター性も良いです。
兵庫県美のシャガールは予想を超える内容で面白かった。前回にムンクを見た時もそうだが、既にイメージを持ってしまっている作家にあらためて出会いなおすと思い込みが一新される事がある。
空想、色彩の詩人、愛の画家というイメージのシャガールだが、より一歩その意味を知る事が出来たと思う。色彩の深さや輝き、日常からの空想への飛躍、モノクロームと色彩の入れこやエッチング版画作品。シャガールの自由さと思想的側面などたっぷりと味わい再発見した。さすがの巨匠でした。同館ロビーのこどもの絵の色彩感覚もかなり巨匠でした。この観る者に直感的に与える自由と開放感覚っていいなぁ・・・