現在取り組んでいる松風のシリーズは東アジア特有の絵画様式である水墨画の日本における受容と発展の歴史についての考察がきっかけとなり始まったもうりょう画のシリーズのひとつです。
私の松風は、能楽という室町時代に大成した伝統芸能と、同じ室町時代の東山御物コレクションにみられる中国の南宋絵画へのリスペクトが基盤になっています。しかし、能楽の謡曲にある文学性や身体表現、全体に通ずる夢か現かという幽玄のなかにみる美意識は、一見わかりにくく、伝わりにくいとも思っていました。
ところが先日、私よりも13歳も年下の若い中国人の青年が私の絵に深く感動してくださり、アポイントをとって会いに来てくれたのです。建築と文学を学ぶ二人の青年は私の作品の感想を「まるで夢を見ているような気分になり、心がやすらいでいく。ほとんどなにも描いていないのに何故か風景が立ち上がってくるとても不思議な絵。」と言い、「物質的に豊かになってきた中国人は今、精神的なものを求めている。この作品を今、中国人に見せたい。」と言ってくれたのです。その言葉にとても驚き、感動しました。それは松風が、コンセプトを伝えていなくともビジュアルのみで国境を越えて作品内容が概ね伝わっているということ、そして水墨画の故郷である中国に逆輸入して見せたいと中国人が思う作品であるということです。また、彼等は建築と文学、私は絵画でジャンルは違っていますが、自分でものを作る感性を持った人に感動してもらえたということもとても嬉しかったです。
私の松風は、能楽という室町時代に大成した伝統芸能と、同じ室町時代の東山御物コレクションにみられる中国の南宋絵画へのリスペクトが基盤になっています。しかし、能楽の謡曲にある文学性や身体表現、全体に通ずる夢か現かという幽玄のなかにみる美意識は、一見わかりにくく、伝わりにくいとも思っていました。
ところが先日、私よりも13歳も年下の若い中国人の青年が私の絵に深く感動してくださり、アポイントをとって会いに来てくれたのです。建築と文学を学ぶ二人の青年は私の作品の感想を「まるで夢を見ているような気分になり、心がやすらいでいく。ほとんどなにも描いていないのに何故か風景が立ち上がってくるとても不思議な絵。」と言い、「物質的に豊かになってきた中国人は今、精神的なものを求めている。この作品を今、中国人に見せたい。」と言ってくれたのです。その言葉にとても驚き、感動しました。それは松風が、コンセプトを伝えていなくともビジュアルのみで国境を越えて作品内容が概ね伝わっているということ、そして水墨画の故郷である中国に逆輸入して見せたいと中国人が思う作品であるということです。また、彼等は建築と文学、私は絵画でジャンルは違っていますが、自分でものを作る感性を持った人に感動してもらえたということもとても嬉しかったです。