よもやま解体新書

山下和也の制作、見聞記. 北へ西へ南へ。

せまい京都。会ったり会わなかったり。

2008-09-25 18:42:10 | Weblog
先週、京都三条のギャラリー射手座で福元なおんどさんの個展があり、拝観した。福元さんは日本画ジャックの出品作家で妖怪や蟹を戯画で描く作家で紺紙金泥画から最近は彩色の屏風へと変遷している。その日は平日の仕事あがりだったが、丹波橋で同じく出品作家の西田さんに遭遇。四条で別れると今度は射手座の奥で同じく話し込む田中さんに遭遇。その数日前には大丸で同じく水野さんの小品展が大丸であったところだ。
水野さんは最近イタリアに滞在していて、今回は帰国間もなくの作品である。最近の鮮やかで落ち着いた色合いからオーカー色の画面になっていた。柔らかな優しい光の感覚は健在で、水野さんは空気が描ける人だと僕は勝手に思っているが小品にもその感じが出ている。
福元さんは以前から描きたいと言っていた猿蟹合戦図屏風と猿蟹で鳥獣戯画を真似た絵巻を展示。
想像していたより穏やかな合戦図で合戦遊びに興じている動物図という内容。近世日本画に妙に詳しい福元さんが毎回どんな元ネタを落し込んでくるかを見るのは私のひそかな楽しみ方です。

会場ではたまたま不在のおりでしたが、せまい京都、また会うでしょう。

ではでは。

東京遊歩

2008-09-14 20:16:36 | Weblog
連休を利用して東京に行ったついでに東京をジャランジャランする。
まずは旧岩崎庭園に行く。ジョサイアコンドル設計の洋館。金唐革やタイル、刺繍天井があり素敵な家。和館は橋本雅邦の襖絵があったようだが、今は見る影もなく絵具が喪失している。100年しか経たないのにこの有様は環境のせいかな。
湯島天神に初参りして建築ディティール写真を撮りまくる。そのまま歩いて東京芸大の狩野芳崖展を見に行く。修業時代から主要作品まで網羅し、デスマスクまで展示しています。なかなか充実してました。
その後スカイザバスハウスに行き、金開堂に寄る。谷中をぶらぶらするのは案外楽しい。
日本民藝館も初来館。柳邸の公開もある。
特別展示は韓国の鍵。常設も勿論充実している。ゆっくり堪能しました。

その後、新宿で作家の木島さんと待ち合わせする。時間潰しに少しあるくが、タイムズスクエアとかあらためて建物や空間がなんか異様ですよね。見馴れてないだけだろうけど。
木島さんは行きつけの場所に連れて行ってくれました。「どん底」という三島由紀夫行きつけの店。確かにイイカンジですね。久々の再開で話が弾む。木島さんが助手時代に若山卓さんは生徒だったので数寄和の展示とトークショーの話も少しする。いろいろ話は尽きないけど日が変わる前に電車で別れる。新宿初心者なのでいろいろお世話になりました。

次の日は朝から水戸へ。ジュリアンオピー展です。前から好きだったので期待しました。僕は好きですね、オピー。
そこから新宿にまた来て、今度はジョットの遺産展。勿論、ジョットはちょっと。でも、祭壇画がたくさん来ていたのでそこには満足。これだけ板絵だらけも珍しいです。
さすがに連日で明日は京都に出るので今回はこれでドロップアウト。だって荷物が重いんだもの。よく歩きましたよ、ホント。

また来月来るしね。

初韓国

2008-09-08 22:25:59 | Weblog
韓国に行ってきました。

故宮博物館、国立中央博物館、曹渓寺を廻り、韓国の歴史文化を少し垣間見る。
李朝陶器は状態や質は日本の方がよいものを見るが日本にはない形や絵付けが多く見れて楽しい。また十数メートルの巨大な仏画もあったが繊細さはやはり中国や日本の方があり、緊張感がある。仏像は弥勒菩薩のとても美しいものや石仏が良かった。想像以上に興味をひいたのは肖像画で異常に繊細だ。しかも高齢者を敬う儒教精神からか年寄りばかり。しかし、その真を写そうとする姿は精緻な仕事から見て取れる。そして豪華な調度に身を包みながらもどこか不思議とあっさりとしている。なにか知らない世界に触れているような美質を感じる。
また、生活用具も箱や刺繍、銀製品等もあらためてみるものがあったし、インドミニアチュールの良いものもあった。

現代美術のギャラリーもそこかしこにあり、アートフェアもあったが今回は廻る時間がなかった。

韓国の仏教美術をみる事であらためて日本のものがみえてきたが、韓国においては肖像画や生活用具にこそその真価があるように個人的には感じた。また、質素倹約の美徳と別に、飾る事が実はかなり好きなんじゃないかと感じている。
料理も美味しかったし、また行きたいですね。次はインサドンの路地裏ももう少し歩いたりして。

嬉しい出会いに乾杯!

2008-09-01 23:08:05 | Weblog
展覧会最終日。
数寄和 大津に向かう。
前回はギャラリートークであまり絵をじっくりみれなかったので再度ゆっくりと観る。
若山さんも会場に来られているので再会も楽しみです。

いつも石山から商店街を歩いて数寄和 大津には行くのだが、町並みがレトロで味わいがある。ふと目に止まった小さなパン屋さんで明日の朝食用のパンを調達。ドイツパンと一緒にメロンパンを買ってしまう。新しいパン屋に入るといつも気になるパンはクリームパンとメロンパンとシンプルなパンとたまにクロワッサンとアンパン。柔らかくてちぎった触感が気持ちいいパンでした。おいし。

対象とゆっくりと対話する時間というのはとても大切だなといつも思います。全てを計り知る必然はなくても、なにか対話する事による出会いや発見がとても嬉しいのです。それは作品に限った話ではありませんよね。

展覧会は無事終了しました。作品を観るため、ギャラリートークを聞くため、会場に足を運んで下さった皆さん、数寄和スタッフさん、そして若山さんに感謝です。出会いはいつも学ぶ事多しです。


最期まで会場にいる事が出来れば良かったのですが、その日は大学の恩師のお祝いの会があり、少し早く会場を起ちました。
恩師とは大学の図書館員の方なのですが、学生時代に模写の学生をいつも支えてくれた影の功労者で僕も様々な本と出会い、触れてきました。仏教関係の書籍を探して何度書庫に行ったか計り知れません。恩師はそれぞれにエピソードを持っていて、僕は和紙大観を一枚一枚何時間も全て触ったというエピソードでした。ふと感触が指に戻りますね。数寄和さんの扱う紙も上質ですが、紙の話をここでまた聞くとは・・・。
こちらの方も卒業後、それぞれの分野で活躍する女性達が集まり楽しく華やかな会になりました。

いろいろな嬉しい出会いの一日でした。