「立体角の定義」について兵頭俊夫『電磁気学』(裳華房)に詳しく説明が載っていた。この本は実は31日に近くの薬局に歯磨きペーストを買いに行ったついでに、その近くのbook-offを覗いたときに物理の本が2冊だけあり、それがそれぞれ定価200円だったので買って帰った。
ところが、立体角の定義の前に平面角のラディアンでの定義があるのだが、立体角の定義は平面角の定義の拡張であるとの言葉がない。もちろん、そのことは著者は十分知っていると思われるのに。
手前みそだが、小著『数学散歩』(国土社)では「立体角の定義は平面角の定義の拡張である」として言葉で書いておいた。また、「立体角は平面角のラディアンでの定義の一般化である」と、沢新之輔、小川英一、小野和雄『エース電磁気学』(朝倉書店)にも亡くなった沢先生が書かれている(注)。
私が頭が悪いせいだろうか、ここまで言ってくれないとわからない。
「立体角は平面角のラディアンでの定義の一般化である」ということを私は本で読んで知ったわけではない。そのことを自分で思いついて、ようやく立体角について了解できたと思うようになった。
そして、このことを愛媛県数学教育協議会の会誌「研究と実践」(愛数協)に書いたのは1989年のことである。『数学散歩』は2005年の発行なので、その間に沢先生の書いた説明を読む機会があったのだが、『エース電磁気学』の発行は1998年のことであるが、沢先生は長年にわたって電磁気学の講義をされてきた方なので、単に私が知ったのは1998年であるが、ずっと以前にこのことをご存知であったに違いない。
沢先生とは同じE大学工学部の同僚教授として面識があったが、このことで話をしたことはない。そして、『エース電磁気学』が発行になったときには沢先生は大阪府立大学工学部の教授であり、もうすでに同僚の教授ではなかった。
並べて書いてあっても、立体角の定義は平面角のラディアンの角の一般化だとあからさまに書いてあるのは沢先生たちの本と私の本でしか私は知らない(注)。
(注)失礼しました。西條敏美『単位の成り立ち』(恒星社厚生閣)にはちゃんと「立体角は、平面角の考え方を立体に拡張したものです」との一文が入っていました。さすがは西條先生です。
(2019.5.20付記) 最近、インターネットを検索してみたが、ほとんどの立体角の説明は平面角のラディアンの一般化であるとか拡張であると書かれている。少し昔にはそういうことを書いたインターネットのサイトはほとんどなかったと思う。
どこから、そういう知識が一般になったか知らないが、結構なことである。ただ、私はもしそういう知識が自分に既知でなかったのならば、それをどこから手に入れたか、どこから知ったかということを参考文献として必ずつけている。
だが、この日本では、一般の人はそういう知識の出所を明示することは少ない。その辺はいつも残念に思う。