最近、朝日新聞に暗黒物質の間接的な証拠が見つかったというニュースや社説が出た。
いわく、宇宙ステーションでの観測ではエネルギーが大きくなるにつれて電子に対する陽電子の比が大きくなることが観測された。これは暗黒物質の衝突でできた陽電子が多いためだと考えられる。
その観測装置に来た陽電子の方向は等方的だと書いてあったような気がする。
もしある特定の方向からの陽電子の数が多いのならば、それは宇宙にあるパルサーという星が起源となる可能性もあるが、等方的なら暗黒物質の衝突による可能性がある。
もっとも対生成で陽電子ができたのなら、電子も同じように出てくるような気がするが、そこのところはどうなっているのだろうか。
暗黒物質についてニュースでとりあげるのはある程度当然としても、社説にとりあげられたのにはちょっと驚かされた。
それはともかく、そのことをこのブログでも取り上げようと思っていたら、昨日同じ朝日新聞に佐藤文隆さんへのインタビューが載った。
佐藤さんはいう。暗黒物質は前から議論されていたが、暗黒エネルギーということになるとそれは現在の理論と実験の違いを示すことは間違いがないが、これは理論の方を見直すことも考えなくてはならないのではないかとのことである。
暗黒物質と暗黒エネルギーをめぐるニュースはその研究を計画している、科学者のPRの思惑もあるのではないかという。その言をどの程度信用していいかはわからないが、その可能性はあるだろう。
暗黒物質の候補は超対称性粒子だという。私の知る限りではまだそれは実験的な証拠はないと思うが、ずいぶん以前から超対称性粒子の存在は言われてきた。
私はその存在をあまり信じてはいなかったが、最近の話でその存在を少し信じかけている。私もいくつかの最近のニュースに影響されているかもしれない。
ここ数十年の経験から、人間が論理的に可能なことだと考えたことがつぎつぎと発見されてきたりして、ちょっと超対称性のような人為的にも思われることにも物理学者は許容度が大きくなっているように思われる。
その心象が行き過ぎかどうかは今の私にはわからない。行き過ぎであれば、いずれは自然が教えてくれるであろう。