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「冠・婚・葬・祭」 中島京子

2018-07-08 | 読書

人生の節目、成人式、結婚式、葬式、お盆の行事を四つの短編としてまとめたもの。

どれも洒落ていて、深く、ほろりとさせられたけど、私の好きな順番は祭、婚、葬、冠の順番。

三年前に亡くなった母親が住んでいた田舎の家、いよいよ売れることになり、最後のお盆を姉妹三人ですることにした。

母親もそこに長く住んでいたのではなく、義兄夫婦が亡くなった後、自分も未亡人になって、最後の日々をそこで過ごしたのである。

次女皐月が一足先に行って家を掃除し、準備していると、街へ出て何年かぶりにたまたま帰って来た幼馴染が、灯りが付いていたからと尋ねてくる。

あとから来た夫に道を教えてくれたのは、叔父と昔、結婚話もあった人で、その叔父は昔ブラジルに行き、今は音信不通になっている。

母の義兄夫婦には子供がないと聞いていたが、小さいとき水死した女の子がいたことを。あまりに悲しい出来事だったので、誰もがそのことを封印していたのである。

三女香代の子供たちもやってきて、田舎のお盆の行事を夏休みの自由研究の題材にすると言う。近所の子供たちとも川遊びをしてすっかり田舎が気に入った勉は「来年も来る?」と聞く。

もう家がなくなるのでこれが最後と皐月が言うと、ヨウコちゃんと来年も会おうと約束したのだと言う。ヨウコちゃん?ヨウコちゃんって誰?そんな子いたかしら?でもそれ以上聞いては行けない気がしたまま、車で帰る香代一家を見送る・・・

末尾の解説には、昔から続くお盆の行事をしていると、亡くなった人と過ごしたその時々のお盆を思い出し、傍にいるような気になる。それがご先祖が帰ってくるという意味だとあり、なるほどと思った。

家族が一人減り、新しい家族が一人加わり、それでも連綿と続くお盆の行事。

子供の時、若いときはダサいなあと特に気にもしていなかったことが、この歳になると懐かしい。一緒にお盆を過ごした人はあらかた向こうへ行ったけど、またお盆には思い出してみよう。最近とみに老化激しく物忘れもひどいけど、いろいろな事を頑張って思い出してみよう。


土曜日、引き続き(勝手に)姑様の不用品置き場の整理。趣旨は今使えるものをよりだし、使えないものはゴミに出す準備。

天袋にぎっしり詰まった箱をいくつか開けてみる。タオル類各種、シーツ、タオルケット、毛布に電気毛布などなど、進物でしょうか。いつかは使おうと大切にしていたのでしょう。私が10年位前に母の日にプレゼントしたタオルセットも包装紙さえ開けずに仕舞っていた。シーツは何十年もすると、茶色のシミが出ている。

早く使うなり、人に上げるなりすればよかったのに、何という物持ちのよさ。昔の人はものを大切にするんだけど、大切の意味はため込まずに使うことではないかしら。

で、サーッカー地のような凝った織りのバスタオル二枚発見。水色と白で夏向き。持ち出して姑様の枕カバーにした。毛布カバーもさっそくかけた。

枕カバーはミシンを持ち出すまでもなく、現場で大体の寸法確かめて手縫い。ポリ混紡の枕カバー外して、さわやかな色と手触りの枕カバーに交換。開きは安全ピンでとめる。

姑様はもうものがほとんど言えないけど、泣きださんばかりに喜んで、何度も何度も私に手を合わす。私は人間、仏様ではないので、人に手を合わされて戸惑ったけど、ジーンとというかぐっと胸に迫るものがあった。

今の姑様は体も自由にならず、思うことも言えず、本当に寂しいのだと思った。この歳になってもまだ不出来な嫁が、テキトーにチクチク縫ったのでも感謝されるなんて、このくらいならお易い御用です。

この土、日は夫弟妹が来ることになっていたけど、大雨と土砂災害で交通がマヒ、来週以降になりそうです。

コメント (2)
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