美濃屋商店〈瓶詰の古本日誌〉

呑んだくれの下郎ながら本を読めるというだけでも、古本に感謝せざるを得ない。

紐育近信(その二)(雑誌・黒白)

2010年03月21日 | 瓶詰の古本

  当地に大きな家屋の建つ事は驚く計りです、十階十五階位ひの家が全く雨後の筍の様にニヨキニヨキ建つて行きます。
  紐育の近くに「コネー、アイランド」と云ふ海水浴場があります、天気の好い日曜など大概五十万人位ひの紐育の人が行きます、紐育から五銭で電車で行けます、其処は浅草の大きなものを海岸に持つて行つた様なものです、総ての見世物や飲食店があります、又紐育の傍に「ハドソン」河と云ふ河が流れて居ります、夏は此の河の上流を見物に約四五千人乗せる汽船が何艘も出ます。此の河の上流は大変景色が好く日本に好く似た処があります。
 夏貧乏人の住んで居る町に行くと往来の真中に市役所が消火用水で噴水を作ります、子供が真裸で其の周囲で遊んで居ります。当地では大変郊外散歩が流行します、休暇又は日曜日は多数の人々は一家そろつて弁当持参で郊外の森とか河とか海岸に行つて一日面白く遊んで来ます、此れは大変に好い習慣だと思ひます。 
 
(「黒白 第百七号」)

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