わらの犬 / Straw Dogs

2011-10-15 | 映画






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邦題が「わらの犬」という1971年に公開されたダスティン・ホフマン主演のリメイク。
残念ながら、原作は観たことがないが、かなりバイオレンスシーンで話題になった映画だったらしい。

原作の舞台はロンドンの片田舎、そしてダスティン・ホフマンの職業は数学者だが、今作の主人公デイビットの職業はハリウッドの脚本家、そして舞台はアメリカのミシシッピーの片田舎。
とにかく、保守的な田舎町と都会のインテリのミスマッチが起こす悲劇だ。
主役を演じるジェームズ・マースデンは、どちらかと言うとミスキャストだと思う。
ダスティン・ホフマンのなで肩のナヨナヨ感が全くない。(なで肩でなくてもいいのだが)
体の引き締まったスポーツマンにしか見えない。同じなのはメガネだけだ。そして、そのメガネが必要以上に強調されて、わざとらしい。
個人的には、ジェームズ・マカヴォイ辺りが適役だったと思うのだが。
そしてヒロインのケイト・ボスワースは、「21」で観ているようだが、ほとんど印象に残っていない女優。
ただ今回の彼女は、とても印象的な演技を見せてくれた。
前半のほとんど化粧もしていないスッピンのシーンでも、とてもきれいだ。
他にはベテラン、ジェームス・ウッドが狂気の高校フットボールのコーチを演じている。



気弱をメガネで表現?


化粧っけがほとんどなかったケイト・ボスワース


ハリウッドで活躍する、脚本家のデイビットと女優のエイミーは、エイミーの父親が亡くなったために、彼女の実家のミシシッピーの田舎に移り住む。
街に到着して、その街唯一の夜は酒場を兼ねたレストランで昼食を食べていると、彼女の高校時代の彼氏のチャーリーとその仲間、街で有名な酒癖の悪いフットボールコーチ、街でただ一人の保安官、そして知恵遅れのジェレミーとその兄たちと出会う。
チャーリーは、エイミーに未練タラタラだ。
酒乱のフットボールコーチは、知恵遅れのジェレミーを罵り殴り、彼の娘に近づかないように脅しかける。
都会っ子のデイビットには、全く違うアメリカ南部の世界だった。

アメリカの南部を印象づけるために、バーと教会を使っていいる。
バーでは、南部の訛りの俗に言う荒くれのレッドネックたちが騒いでいる。
教会は、原理主義に近い超保守的、排他的で聖書が全てだ。
いかにも共和党的な場所だ。



田舎のマッチョマン、チャーリー


狂気の元フットボールコーチ


デイビットとエイミーは、チャーリーと3人の仲間を母屋の屋根の修理に雇うが、ビールを飲みながら、しかも半日しか仕事をしないため、作業はなかなか進まない。
そしてその男たちは、毎日ノーブラでジョギングするエイミーをいやらしい目で追いかけている。
そのことをデイビットは、エイミーの美貌がそうさせるだと思っている。

ある晩、デイビットとエイミーは、クローゼットで猫が絞め殺されネクタイに巻かれて死んでいるのを見つける。エイミーは、それがチャーリー達の仕業だと信じるが、デイビットは証拠がないために彼らを問いただす事に躊躇する。
その日も仕事に来ていたチャーリー達に、猫の件で探りを入れる話をしているうちに、デイビットは、その場の雰囲気で彼らと狩りに行くことなる。
そして、デイビットが初めての狩りで鹿を撃っているとき、エイミーはチャーリーと彼の仲間にレイブされてしまう。

この中盤は、本当にヤキモキさせられた。
デイビットの呑気さも、彼の小道具のメガネをかけるしぐさも、観てるもののイライラを誘う。
オリジナルでは話題になったらしいレイプシーンは、映像的にはそんなにバイオレンスを感じない。
デイビットは、妻がレイプをされたことにも気づかず、相変わらず呑気だ。
このストーリーは、どこにいくのだろうと、とても不安になる。

そして、中盤でヤキモキさせられた理由が終盤に待っていた。
デイビットは、エイミーの事件を知らないまま、この街一番の催し物である金曜日の地元の高校のフットボール観戦に行く。
そこには、例の4人組と、酒乱のコーチ、知恵遅れのジェレミーが来ていた。
男たちを見て、気分を悪くするエイミー。
自らジェレミーをロッカー室に誘いだす、酒乱コーチの娘。
そして、娘を探しに来た、コーチを恐れるジェレミーが事件を起こす。



この人もっと、ストーリーに絡んでくると思ったけど


未練タラタラのバカ男


デイビットと、エイミーは、球場からの帰りに、道路に飛び出してきたジェレミーをはねて、怪我を負わせてしまう。 そして事件を全く知らないまま、彼を家に連れてくる。

娘が行方不明で、頭に血の登っている酒乱コーチと4人の男たちは、ジェレミーがデイビットに匿われているのを知って、彼の家にジェレミーを奪いに来て、家に向けて投石と発砲をはじめる。
保安官が駆けつけるが、完全に狂ってしまったコーチに撃ち殺されてしまう。

狂気のフットボールコーチ、あわよくばデイビットを殺して保安官殺しの容疑をかけてしまおうとする、これまた狂った4人。
錯乱するエイミーに、デイビットは、みすみすリンチにかけられるジェレミーを5人には渡せないと、5人と対峙する決意をする。
終盤は、凄いことになっている。
今まで、ためていたバイオレンスを一気に最期の20分くらいで爆発させて、5人対1人の殺し合いが繰り広げられる。
それは、妻がレイプをされている時に、鹿を倒して恍惚の瞬間を味わったディビットが、自分の中の野生を見つけた戦いだった。

やはり、キャストが一番の失敗だと思う。
ジェームズ・マースデンは、少なくてもチャーリー以外の3人よりははるかに強そうだし。
そして前半から中盤にかけて、彼はまわりからのイジメをもっと鬱積させなければならないのに、それがほとんど感じられない。
元のストーリーが、しっかりしているから一応楽しめたが、もしダスティン・ホフマンのバージョンを観ていたら、もっとがっかりだったかも知れない。



ここからバイオレンスのオンパレードに


1971年のオリジナル


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