映画「メットガラ(The First Monday in May)」を観た。感想は、もう、凄い!!の一言だ。(ほーっ...溜息)
この映画は、メトロポリタン美術館(服飾部門)の2015年「China: Through the Looking Glass(鏡の中の中国)」展の制作過程と、チャリティ前夜祭である「メットガラ」(世紀の一夜!)のために奮闘する8か月に密着した情熱のドキュメントである。
なにしろ、企画者のアンドリュー・ボルトンが奔走する展覧会の制作過程やバックヤードが見られるだけでなく、アナ・ウィンターがヴォーグ軍団を率いて取り仕切る仕事っぷりも見事で、その上、展覧会もガラも超ゴージャスで、見ている間中もう目が眩むような至福の時でしたわ!!
メトロポリタン美術館(服飾部門)アンドリュー・ボルトン と 米ヴォーグ編集長アナ・ウインター
ボルトンがアレクサンダー・マックイーンのドレスの裾を直している...
でもね、何といっても圧巻だったのは、テーマに沿った中国趣味的衣装ドレスの豪華絢爛さであり、有名デザイナーたちが展示のために惜しげもなくドレス貸与している姿も感動的だった。中国文化にインスパイアされた作品の数々が関連するMET作品(東洋美術部門)と並び展示される様は、西洋からの中国(東洋)への眼差しがたとえ表層の美であっても、私的に許してしまうほど(^^;。もちろん、METサイトも言及しているエドワード・W・サイードの「オリエンタリズム」を東洋人の私としては頭の片隅に置く必要もあるのだけれどね。
参考としてメトロポリタン美術館側の展覧会動画を下記にリンクするが、本当に素晴らしいのだ!!
http://www.metmuseum.org/metmedia/video/collections/ci/china-looking-glass-gallery-views
で、展覧会の展示コスチュームがあまりに素敵過ぎて、MET図録をAmzaonでぽちっとなしてしまった(笑)。でも、図録の紙質が、えっ?!だった。装丁は良いのだけれど、まるでカラーコピーを二つ折りしたような製本で、もしかしてコストダウンを図ったということなのかなぁ??
「China: Through the Looking Glass(鏡の中の中国)」展図録
で、もう、書きたいことは山ほどあるのだけれど…ネタバレながら、例えば…(記憶違いだったらごめんね(^^ゞ)
・METの受付フラワーが薔薇でできた青花文様の壺になってしまった!♪
・中国側のメディアが「過去の文化だけでなく現代も採用して欲しい…」と…(^^;
・ボルトンが「仏像の前に毛沢東の人民服を置きたい。宗教だから…」と(^^;;
・ウォン・カーウァイ監督が映像監修している。「花年様華」の映像とか♪
・ボルトンのパートナーは男性。
・アナの娘への愛情がサングラスの奥からにじみ出ていた。 等々...
で、最後に補足だけ。
METの服飾部門はダイアナ・ヴリーランドの時代からVOGUE誌との繋がりは深い。映画の中でニューヨーカー誌(?)のおじさんがボルトンに「服飾部門は可哀想だねぇ、ヴリーランドの時代から地下の暗い部屋で」と華やかな席で皮肉を言っていたが、陽の当たらない装飾部門を華やかな部門に変えたのはダイアナであり、今でもアナ・ウィンターが「メットガラ」を通じて服飾部門のための収益金(予算)を集めている。