花耀亭日記

何でもありの気まぐれ日記

東京都美術館「バベルの塔」展の感想(4)

2017-04-24 23:59:34 | 展覧会

今回の展覧会を観るにあたって、ボイマンス美術館で撮った写真をチェックしてみたのだが、その中の1枚に今回の展覧会でも展示されている2作品が上下に並んでいた。2点とも15世紀後半に描かれたネーデルラント代表画家作品であり、その緻密な表現にはヤン・ファン・エイクの残響が感じられる。

上にディーレク・バウツ《キリストの頭部》(1470年頃)、下にハンス・メムリンク《風景の中の二頭の馬》(1490年頃)。 

バウツのキリストの眼は静かに力強く観る者を射る。祈念画としての迫力を感じさせてくれる作品である。図録に拠れば、キリストの「真顔」として流布された原型作品らしい。それにしても、襟元の金糸や宝石の描写表現も見事であり、素人眼にはふとファン・エイクを想起してしまうのだ。