・ローマのカラヴァッジョ(その2)
カラヴァッジョ作品の前半(その1)は初期風俗画が中心だったが、後半は宗教画が中心だった。東京の「カラヴァッジョ展」がある意味静物画描写の際立つ傑作風俗画2点を中心とした構成であったのに対し、ここではドラマ性の際立つ宗教画ゆえに、作品と対峙した時により深く画面に惹き込まれる。もちろん、静物画好きの私であるから前者を軽んじるつもりはない。
・《聖女カテリーナ》(1598年)ティッセン=ボルネミッサ美術館
・《ゴリアテの首を斬るダビデ》(1600年)プラド美術館
・《イサクの犠牲》(1601-02年)ウフィッツィ美術館
・《荒野の洗礼者聖ヨハネ》(1604-05年)ネルソン=アトキンズ美術館
・《瞑想する聖フランチェスコ》(1605年)クレモナ市立美術館
このうち4作品は最近観ているので、やはり久しぶりの《荒野の洗礼者聖ヨハネ》に目が行く。2013年に観たロザンゼルスのカウンティ美術館「身体と影-カラヴァッジョと彼の遺産」展以来か?
ネットから綺麗で見やすい画像を拝借(^^ゞ ↓
オッタビオ・コスタの注文により描かれたこの《荒野の洗礼者聖ヨハネ》、ここでは美しい若者であり、観る者をにんまりさせてしまう「際どさ」がある。コルシーニ美術館作品もカピトリーノ作品(笑うイサク)もだが、スポットライトに浮かび上がるが故に、視線が身体の線を追ってしまうのだよね(汗)。言わば、カラヴァッジョは聖と俗の間(あわい)をニヤリとしながら描いてみせるのだ。
背景は闇に落とし込んだ鬱蒼とした葉の茂みで、左前方からの光に浮かび上がる聖者(深い影の下の眼差しは瞑想と言うよりも何か思索をしているようだ)とその紅色の衣紋描写がひときわ目を惹く。だが、その下からのぞく左足(対向右)のヒザカブがやはりキモでしょ?(^^;; そして、下草にまで届く光のニュアンスがこの空間を形成しているのだと思う。
(ということで、続く...)