1) ローマのカラヴァッジョ(その1)
会場に入ると正面には《聖カテリーナ》が見える。しかし、オープニングは左側の第一室から始まる。
作品は下記の通りだ。制作年を入れていないのは、最新研究によるとカラヴァッジョのローマ到着年が1595-96年頃になるようで(国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」図録参照)、初期作品の制作年に関しては今後の定説を待ちたいと思う。
・カラヴァッジョ《トカゲに噛まれた少年》ロベルト・ロンギ財団
・カラヴァッジョ(模作)《果物の皮をむく少年》クイーンズ・ギャラリー
・カラヴァッジョ《音楽》(1595年)メトロポリタン美術館
・カラヴァッジョ《女占い師》(1597年)カピトリーノ絵画館
《トカゲに噛まれた少年》と《女占い師》は国立西洋美術館「カラヴァッジョ展」で観たばかりなので、やはり久々の《音楽》に目が行ってしまう。特にリュートを弾く少年の潤んだ瞳は絶品であり、歌うような口元から微かにのぞく舌が色っぽい。それと、こちらを見る画家自身の自画像もね(笑)。接近して見ると、左下の葡萄の房や葉の写実描写はさすがであり、静物画を得意とする画家の実力誇示というところだろうか?
で、いつも思うのだが、《音楽》の後ろ向きの少年とフェルメール《ディアーナとニンフたち》の後ろ向きのニンフがよく似ている。両者とも群像を描いた作品と言うのも共通する。まぁ、多分に美術ド素人の思い過ごしかもしれないけれどね(^^ゞ
ちなみに、今回の展覧会は時間入場制になっているので、並んでいる観客は時間が来ると会場に一挙に入場することになる。しかし、オープニングの第1室は手狭であり、混雑してかなり見難かった。小ぶりサイズの初期作品群に合わせたものだろうが、作品間の間隔の狭さに伴う展示室空間の狭さは、他の展覧会でも往々にして見られる。観客の流れを主催者側は考慮できないのだろうか? 特に小作品や緻密描写が売りの作品は子細に観ようとする人々が群がりやすく、広い間隔が必要なのだ。そこのところ考えてくださいな!!>各美術館さま
ということで、続く...。