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『孟子』巻第七離婁章句上 八十一節、八十二節、八十三節

2017-12-28 10:15:54 | 四書解読
八十一節

孟子は言った。
「高位にある人間がつまらない人物だとしても、それを責めるには及ばない。政治が悪いからと言ってその一つ一つを非難するには及ばない。大切な事は君主の誤りを正すことであり、それは徳を修めた優れた人物のみが出来ることである。君主が仁愛深ければ、国じゅうは皆仁愛深くなる。君主が義を重んずれば、国じゅうは皆義を重んずるようになる。君主が正しければ、国じゅうは皆正しくなる。このように一旦君主の心を正しく導けば、国はよく治まるものだ。」

孟子曰、人不足與適也。政不足間也。惟大人為能格君心之非。君仁莫不仁、君義莫不義、君正莫不正。一正君而國定矣。

孟子曰く、「人は與に適むるに足らざるなり。政は間するに足らざるなり。惟だ大人のみ能く君の心の非を格すことを為す。君、仁なれば仁ならざること莫く、君、義なれば義ならざること莫く、君、正しければ正しからざること莫し。一たび君を正しくすれば、國定まる。」

<語釈>
○「人不足與適也」、趙注:「適」は「過」なり、時に皆小人位に居るも、過ちを責むるに足らざるなり。「適」は“せめる”と訓ず。○「閒」、趙注:「閒」は「非」なり。非難すること。○「格」、趙注:「格」は「正」なり。

<解説>
不適切な役人やよくない政治が行われているのは、取り立てて責めるには及ばない、君主の心を正しく導くことが、国を治める根本であると述べている。儒教の徳治主義である。今の我々からすれば異論のある所だろう。

八十二節

孟子は言った。
「思ってもいなかった名誉を得ることも有れば、完全を期していても反って非難を受けることがある。」

孟子曰、有不虞之譽。有求全之毀。

孟子曰く、「虞らざるの譽れ有り。全きを求むるの毀(そしり)有り。」

<解説>
自分に対する世間の評価は、自分が思っているのと違うことがある。だからそのような者に右往左往せずに、自分が信じる正しい道を行っていけばよいということである。趙岐の章指に云う、「君子は行いを正しくし、斯の二者に由らざるなり。」

八十三節

孟子は言った。
「人が軽々しく物を言うのは、責任感がないからだ。」

孟子曰、人之易其言也、無責耳矣。

孟子曰く、「人の其の言也を易くするは、責め無きのみ。」

<解説>
「無責」の解釈については諸説がある。朱注は、人の其の言を輕易する所以の者は、其の未だ失言の責めに遭わざるを以てなりと述べており、人から責められないからだと解釈している。通釈のように、責任感がないと解釈しておくのが無難だろう。

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