gooブログはじめました!

写真付きで日記や趣味を書くならgooブログ

『大学』第五章第三節

2013-03-13 09:48:25 | 漢文
『史記』はこちら http://www.eonet.ne.jp/~suqin

     『大学』第五章第三節
詩には、「桃の木は若々しく、その葉は美しく生い茂る。この娘はこの家に嫁いでいくが、きっとその家の人々と和合するだろう。」とあるように、君主たる者も家族とよく和合してこそ、始めて人民にもよく教化することが出来る。詩には、「兄としても弟としても兄弟の道に従う。」とあるように、君主たる者は兄としても弟としても、兄弟の道に従いよく和合してこそ、始めて人民を教化することができる。詩には、「その威儀ある行いは道に違うことなく、この国の人々を正しく導く。」とある。このように詩に云われているように、君主たる者は、家に在っては、父としても、子としても、兄としても、弟としても孝の道に法って行動してこそ、始めて人民もそれに法ることができるのである。これが国をよく治める基本は、自分の家を和合させることに在ると謂うことである。

詩云、「桃之夭夭、其葉蓁蓁。之子于歸、宜其家人。」宜其家人、而后可以教國人。詩云、「宜兄宜弟。」宜兄宜弟、而后可以教國人。詩云、「其儀不忒。正是四國。」其為父子兄弟足法、而后民法之也。此謂治國在齊其家。

詩に云う、「桃の夭夭たる、其の葉蓁蓁(シン・シン)たり。之の子、于(ここ)に歸(とつぐ)、其の家人に宜しからん。」其の家人に宜しくして、而る后以て國人に教う可し。詩に云う、「兄たるに宜しく弟たるに宜しく。」兄たるに宜しく弟たるに宜しくして、而る后以て國人に教う可し。詩に云う、「其の儀忒(たがう)わず。是の四國を正す。」其の父子兄弟為ること法るに足りて、而る后民之に法るなり。此れを國を治むるは其の家を齊うるに在りと謂う。

<語釈>
○「詩云」『詩経』周南の桃夭篇。○「夭夭」、若々しい貌。○「蓁蓁」、美しく生い茂っている貌。○「帰」、嫁ぐの意。正義曰く、「帰は嫁なり。」○「詩云」、『詩経』小雅の蓼蕭篇。○「詩云」、『詩経』曹風の鳲鳩篇

<解説>
本章で述べられた、「國を治むるは其の家を齊うるに在り。」について、第二節に引き続き、詩を引用しながら、更に具体的に説いている。本章の第一節の解説で述べたように、中国は家族主義であり、その柱は孝道である。父子兄弟の孝道を遵守し、自分の家をよく和合させてこそ、始めて国家をよく治めることが出来るのである