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『論語』学而第一 4、5、6章

2020-01-11 12:08:44 | 四書解読
4

弟子の曾子が言う、私は毎日次の三つのことで自分の行いを反省している。人から相談を受けた時、心を尽くして対応しただろうか。友達との交際に於いては信義に欠けることはなかっただろうか。先生から教わったことを、自身がよく理解していないのに、分かったような顔をして人に教えてはいないだろうか。

曾子曰、吾日三省吾身。為人謀而不忠乎。與朋友交而不信乎。傳不習乎。

曾子曰く、吾日に吾身を三省す。人の為に謀りて忠ならざるか。朋友と交わりて信ならざるか。習わざるを傳えしか。

<語釈>
○「三省」、三について、朱注は、「此の三者を以て日に其の身を省む。」と述べているように、下文の三事を指すとしている。服部宇之吉氏は、「三省の三は屡々の義なり、下文の三事を指して云うにあらず。」と述べているように、屡々の義に解しており、我が国の注釈書は多くこの説を採用しているが、私は朱注を採用する。

<解説>
『大學』の第二章第三節に、「湯の盤の銘に曰く、「苟(まことに)に日に新たにして、日に日に新た、又日に新たなり。」とあり、又『孟子』巻第八離婁章句下百十七節に「此に人有り、其の我を待つに横逆を以てすれば、則ち君子必ず自ら反するなり。『我必ず不仁ならん、必ず禮無からん。此の物奚ぞ宜しく至るべけんや。』と。其の自ら反して仁なり。自ら反して禮有り。其の橫逆由ほ是のごとくなるや、君子必ず自ら反するなり。『我必ず不忠ならん。』と。」とあるように、儒家にとって日々の反省は為すべき最も重要な行為なのである。

5
孔子言う、兵車千乘も出すことが出来るほどの諸侯の国を治める要は、敬い慎む心で政治を行い、民から信頼されるようにし、無駄な費用を節約して人々を愛し、人民を使役する時は農繁期を避けて、農閑期に行うことだ。

子曰、道千乘之國、敬事而信、節用而愛人、使民以時。

子曰く、千乘の國を道むるに、事を敬して信に、用を節して人を愛し、民を使うに時を以てす。

<語釈>
○「道千乘之國」、朱注:「道」は治なり、千乘は諸侯の國なり、其の地兵車千乘を出だす可き者なり。○「敬事而信」、集解:包咸曰く、國を為むる者は、事を舉ぐるに必ず敬愼し、民に與するに必ず誠信す。○「使民以時」、この時代、民とはほとんど農民である。故に農民を使役する時は、農業が暇な時期を選ぶことが大事であることを言っている。

<解説>
この章は国を治める要を説いたものである。朱注:程子曰く、「此の言至淺なり、然れども當時の諸侯、果たして此を能くせば、亦た以て其の國を治むるに足る、聖人の言、至近なりと雖も、上下皆通ず、此の三言は、若し其の極を推せば、堯舜の治も、亦た此に過ぎず、常人の近きを言うが若きは、則ち淺近なるのみ。」と述べられているように、この三言は特に難しいことを述べたものではない。ただいずれも其の本を為しているのは民であり、民こそが政治の要であることを説いているのである。

6
孔子言う、若者は家庭内では父母に孝を尽くし、外では年長者に従順につかえ、行動は慎み深く決まり事を守り、言葉はでたらめを言わず真実を述べ、広く人を愛し、特に仁者には親しみ近づき、その影響を受けるようにせよ。これらの事を行って、猶ほ余力があれば、詩書六藝の文を学ぶのがよい。

子曰、弟子入則孝、出則弟、謹而信、汎愛衆而親仁、行有餘力、則以學文。

子曰く、弟子入りては則ち孝、出でては則ち弟、謹みて信、汎く衆を愛して仁に親しみ、行いて餘力有らば、則ち以て文を學べ。

<語釈>
○「弟子入則孝」、弟子は、若者全般を指す。入は、家の中。家庭では父母に孝を尽くすこと。○「出則弟」、出は、家の外、乃ち世間。弟は、悌順、乃ち年長者によくつかえること。○「謹而信」、朱注:謹は、行いの常有るなり、信は、言の實有るなり。行動は慎み深く決まり事を守り、言葉は真実があること。○「文」、朱注:文は詩書六藝の文を謂う。

<解説>
朱注に、洪氏曰く、「未だ餘力有らずして、文を學べば、則ち文、其の質を滅す、餘力有りて、文を學ばざれば、則ち質勝ちて野なり。」とあるように、学問とは知識を先づ身につけるより、正しい行いと仁義を身につけ実践することが大事であることが述べられている。

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