「なんでこんな星にしたんだよ」
「そうだ。もっとあったよね」
「さっきのでよかったじゃない」
「本当だ。よほどよかった」
「お前らな。だったらさっき言えよ」
「言いましたけどね」
「ちゃんと言えよ。ぼそぼそ言ってただろ」
「でも酷い星」
「何も得るものが見当たらない」
流石にもう黙って聞いていられなかった。田舎だから自分たちしかいないと思っているのか。だが、ここは私の愛する街だ。もう隠れているのはやめた。
「お前らあんまり調子に乗んなよ」
「お前こそ何だ? 部外者は引っ込んでろ」
「はあ? お前らの方が部外者なんだよ」
「何だ、やるのか? 俺たちに手を出したら地球がなくなるぞ。わかってんのか?」
「これはプライドの問題なんだよ」
「それより君は人類、いいや地球生命のことを考えるべきでは?」
「人類のことなんて知らない。私は自分しか愛せないんだ」
「何こいつ、頭悪そうだな。やっちまえ!」
私は覚えある空手を使って侵略者を懲らしめた。生身の彼らは口ほどになく弱かった。大人と子供以上の実力差がはっきりと見えた。とてもかなわないことを悟ると彼らは散り散りになり逃げながら詫びながら母船の中に逃げ込んでいった。
「二度と来るなよ!」
UFOは離陸すると一瞬で空の彼方へ消えてった。幼稚な道徳に反して高度な科学を持っていることが推測される。
一人だけ残されたボスの目がすかっかり死んでいた。私は荷造り用の紐できつく縛りつけて自宅へ連れ帰った。
「食べるか?」
ボスはバナナを半分だけ食べた。
翌日になり、私は人類の発展のためにボスをNASAに届け出た。
「これは猿ですよ」
そう言われた瞬間、確かにボスは猿にしか見えなくなっていた。
(ここに来るまで宇宙人だったのに)
そんなことを言ってももはや何の信憑性もない。言い続ければ私の立場が危うくなるばかりだ。
仕方なく私はボスを動物園に連れて行った。
バナナを食べる度に、ボスは猿らしさを増し、人懐っこい笑顔を見せるようになった。これなら、どこに行ってもすぐに馴染めるかもしれない。私の中にボスに対する親心などあるはずもなかったが。
「昨日までは宇宙人だったんですが」
園長の前で、私は正直に打ち明けた。
「これはあなたのお母さんですよ!」
私ははっとしてバナナを食べた。私も猿か。
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