眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

モーツァルトの沈黙

2012-04-04 00:23:02 | 忘れものがかり
「少し大きいな」

ギターソロが山頂へ向かうところ
男はボリュームに手を伸ばし
「ロックはあまり好きでもないし」
と付け加える

「こういうところには合わないでしょう」
と付け加える

「やっぱりクラシックですか?」
「そんなの知らないけど」

はあ?
合わないの?
知らないの?

父のことを悪く言われて
僕は落ちていたけれど

鶏肉の上に
延々と注ぎ落ちている
レモンの雫の一滴一滴に
いたたまれなくなって

チャンネルを変えた

夜明けの空のような
ピアノソナタが続いて

「何か物足りないな」
男は言った

それから3分間
モーツァルトは黙り込んだ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« こと | トップ | アクター »

コメントを投稿