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何もしないのにビー玉が転がっていくということは家が傾いていた。不動産屋さんにかけるとすぐにつながった。
「そちらは途中物件になります」
契約書を確認せよとのことだ。
クローゼットを開けると宮大工が潜んでいた。
あくびを一つして「もうきたの」という顔で起き上がった。ポケットから取り出した鉢巻きをきゅっと頭に締めると突然気合いの入った顔つきになった。
「途中やねん」
やはり不動産屋の言葉に間違いはなかった。
「続きをお願いします」
宮大工が釘を一本打ち付ける度に傾きが改善されていく。
私は安心して眠りに落ちた。
トントントン。
宮大工の釘音は心地よい子守歌のようである。
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