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A店で商品を受け取った配達員Uは、すぐにAさん宅には向かわず、一旦B店へと向かう。Bさんが注文した商品を受け取るためだ。Aさんから見れば、配達員Uの動きは寄り道と言える。もしもB店で調理の待ち時間が発生した場合、Aさんは自分の注文とは関係のない分も一緒に待たねばならない。Bさんが注文した商品を受け取ると、配達員UはBさん宅へは向かわず、最初の注文者であるAさん宅へと向かう。Bさんから見れば、配達員Uの動きは寄り道と言える。もしもAさん宅で居眠り等による何らかの受け渡しトラブルが起きた場合、Bさんは自分の注文とは関係のない睡眠事情も含めて(恐らく10分は余計に)待たねばならない。Aさん宅への配達を無事に終えると、配達員Uは残りの商品を届けるためBさん宅へ向かい始める。寄り道型デリバリー(PPDD)だ。AIの判断によっては、先にBさんへの配達が優先されるパターンもあるという。
寄り道をした分だけ(システムの上では通常の運転だが)、商品の到着は遅れることが約束されている。当然、100%だ。人手が足りないというならまだわからなくもない。けれども、この街に限って言えばとてもそのようには見えない。客が求めているのは、美味しいことは勿論、温かい商品でもあったはず。多少は性能の高いバッグだとしても、熱は時の経過によって失われていくことが避けられない。寒い季節に入れば、温かさはより強く望まれるものではないか。社会は、企業は、サービスは、どこへ向けて優しくあるべきだろう……。ベルが鳴る。こんばんは。どうぞ。
「お待たせいたしました!」
配達員が手渡してくれた商品の入った袋からは、まだ微かな熱が感じられる。
「いえいえ、寒い中ありがとうございます!」
今夜の私は、注文者Aだった。
配達員は平行して(1つの機会で)2件の配達をこなしたとしても、その報酬は通常の2件分に遠く及ばないという話だ。
仮にそれが本当だとしたら……、
私たちが待ちわびた分、誰が、何を得たのだろうか?
すっかり伸び切った麺をすすりながら、私は見知らぬBさんのことを想っていた。
「明日からは自分で作る!」
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