「ここが玄関。ここがバスルーム。ここがリビング。これが窓。これがベッド」
あなたは私の説明を黙って聞いていた。
「これが壁。これが天井。雨風から守ってくれる。敵も入って来られない。ここにいていいよ。あなたに安全をプレゼントします」
「では、私は何を?」
「別に何も……」
あなたはここが気に入ったようだった。私の周りには、あなたの音が、呼吸が、気配があり続けた。あなたは時々、私の夢を遮ることもあった。あなたも夢をみるのだろうか。わからない。あなたのことはほとんど何もわからなかった。私についてどれくらいの関心を持っていたのかも。
私が望んだもの。それはただあなたの存在だったのかもしれない。
(存在)それが何なのか、やっぱり私にはまだよくわからない。
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ありがとう(私に大船は似合いませんでした)
クリスマスの朝、私はあなたの置き手紙をみた。
さようなら
あなたが開けていった窓から小さく白く入ってくる。
「雪だ」
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