眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

さよならクリスマス

2020-12-22 13:32:00 | ナノノベル
「ここが玄関。ここがバスルーム。ここがリビング。これが窓。これがベッド」
 あなたは私の説明を黙って聞いていた。
「これが壁。これが天井。雨風から守ってくれる。敵も入って来られない。ここにいていいよ。あなたに安全をプレゼントします」

「では、私は何を?」
「別に何も……」

 あなたはここが気に入ったようだった。私の周りには、あなたの音が、呼吸が、気配があり続けた。あなたは時々、私の夢を遮ることもあった。あなたも夢をみるのだろうか。わからない。あなたのことはほとんど何もわからなかった。私についてどれくらいの関心を持っていたのかも。
 私が望んだもの。それはただあなたの存在だったのかもしれない。
(存在)それが何なのか、やっぱり私にはまだよくわからない。


ありがとう(私に大船は似合いませんでした)

 クリスマスの朝、私はあなたの置き手紙をみた。

さようなら

 あなたが開けていった窓から小さく白く入ってくる。

「雪だ」


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