眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

やい! 待ちやがれ!

2020-01-03 14:20:27 | 夢追い
 出発を待っていると反対のホームに別の電車が入ってきた。座っていた人がバタバタと席を立って駆けていく。きっと向こうの列車の方が先に出るのかもしれない。急ぐわけでもないが、それほど皆が行くのならば……。流されるように僕は席を立った。その時、他の人もそのように思ったに違いない。多くの人が終着駅のように降りていく。勢いに押し出されるように僕はホームに運ばれた。それにはとどまらずにホームを越えて新しくやってきた電車の屋根にまで押し上げられたのだった。「うわーっ!」上にまで乗ったのは僕だけだった。なのに、誰も僕の方を見ていない。その時、既に電車は動き始めていた。「あっ、待って! 降ります! 降りまーす!」叫んでも電車は止まらない。宙に浮かぶと闇の中に弧を描き始めた。それはスパイを振り落とそうとする時の仕草だった。「酷いじゃないか! 僕はただ乗りすぎただけだぞ!」
 

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