価値観の相違を突いて赤と黒はぶつかっていた。ゆるゆるとした論客たちに握られて緑は折れそうだった。現代詩の歪みに引かれて青は迷子になりかけていた。ミミズの散歩と揶揄されることも日常だった。
「1つになろうよ」
右脳に現れたコンダクター。あなたは透明なケースを用いて分解寸前だったものを見事に束ねてみせた。それは単なる喧噪を未知の創作へと変えるほどの一撃だった。あなたを父と呼ぶことにしよう。
父の功績は語り尽くせぬほどあった。見て見ぬ振りをして過ごす奴。知らんぷりをして笑っている奴。人の振りを真似て自分の手柄にする奴。死んだ振りをしてすべての野生をやり過ごそうとする奴。寝た振りをして自分だけ指名を逃れようとする奴。わかった振りをして何もわかってない奴。そのすべてを見過ごすような父ではなかった。
「1つになろうよ」
厄介な振り子たちを束ねると、父はパフォーマンス集団を作り上げた。ばらばらに振る舞っていた者たちは、父の提案の下で秩序と法則を学び始めた。反復によって美しく身についた振りは誰かを陽気に導くこともできる。そう気づき始めてからは加速をつけて飛躍していくばかりだった。かつては厄介なだけだった振り子たちは、いつでも人々を笑顔にするようになった。けれども、笑顔の裏で泣いている者の存在に父は気づいていた。街を飛び交うのは神出鬼没の小皿たちだった。
チャーハンは人々の手を開きっぱなしにして生産性を極端に落としていった。餃子は高い中毒性を持ち人の上に立つと王のような顔をしてみせた。唐揚げは街のコンビニに容易く侵入しては日常から支配を開始した。天津飯はゲリラ雨と交じり合って道行く人に脅威を与えた。チャンポンは無限の器の中に未知の素材を要求して徐々に人々を無気力にしていった。春巻きは春夏秋冬に伸びきって多くの浪人を生み出した。フライ麺は天空にまで網を広げて忙しい渡り鳥たちを大混乱に陥れた。彼らの本当に恐ろしいところは、どれだけ道を外れても何とも思っていないところだった。
「1つになろうよ」
父は大国からシェフを招いた。どれほど身勝手な皿もその豪腕から逃れることはできなかった。すべての皿は大人しくシェフの長く突き出た帽子の下に引き寄せられるとショーウィンドウの中に納まった。
日曜日の午前、早くから多くの人々が行列を作って開店を心待ちにした。店の前には祝福の花輪があふれ、各国のダンサーたちが喜びに舞っていた。
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