眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

イチゴ遊戯

2011-12-08 22:29:41 | 12月の列車
 側面に向かって金銀青を投げつける。空中ブランコの始まり、うまくキャッチできなかったものは床に落ちてどこかに転がってゆく。
(気にするな。今は母体の方が大事)
 青は一番小さくて硬い。誰かがそれを発見して、ユウが青の密集地帯を作った。
 適当な場所にイチゴを散りばめた。後からまた大量のイチゴ群が到着する。
「使い切ってください」
 とタコが指示すると、下地は隙間なく赤で埋め尽くされた。



「切符を拝見いたします」

 遠くで誰かの声がするが、僕はカウンターの前で何かを待っていたのだ。やがて、上空からプロペラの回転する音がして風が植木鉢や、メニューや、調味料を蹴散らした。新聞がパタパタとページをめくり、女はお気に入りの帽子を手で押さえていた。吊り下げられたロープから、アイスコーヒーが下りてくる。
「高いところから失礼します」
 高いけれど、澄んだ声はよく通る。一口飲むと更に深く眠りに落ち込んでいくようだった。眠り込んで12月が終わってしまうとしたら、とても残念なことだ。
「ありがとうございます」
 邪念のない女の声がする。まだ僕はこの世の中にいた。



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