眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

早桂の時代

2021-07-26 06:54:00 | 将棋の時間
 美濃の囲いは長く憧れの的であった。振り飛車の美学は、美濃の美しさに重ね見ることができた。左美濃、天守閣美濃、居飛車の美濃は振り飛車の美濃を真似たものだった。美濃から高美濃、高美濃から銀冠へと発展させて行くことも、振り飛車のよき伝統であった。
 今、美濃の銀がいた場所に玉がいる。玉が入城すべき場所に銀がいる。(あろうことか壁銀の悪形だ)早々と桂を跳ね出すのは、桂のいた場所に玉を潜り込ませる狙いである。美濃より低い姿勢に玉を囲うのは、速攻からくる玉頭への反動を軽減するためだという。

「桂馬の高跳び歩の餌食」

 かつてはそんな格言もあったはず。悪手の代表とされるような筋が、現代将棋の最先端を行っている。

「捨ててこそ生きる」

 桂を早く前に出すために。振り飛車の囲いも変わりつつある。




美濃よりも粗末な城でさばき合う
座布団高く一手入魂

(折句「ミソサザイ」短歌)


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